2015 Fiscal Year Annual Research Report
符号理論における計算限界の解明
Publicly Offered Research
Project Area | A multifaceted approach toward understanding the limitations of computation |
Project/Area Number |
15H00851
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安永 憲司 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (50510004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 誤り訂正符号 / リスト復号 / 計算量制限通信路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、誤り訂正符号化技術の計算限界を解明することを目的としている。特に、計算量制限通信路を考え、計算限界の解明を目指す。 Lipton(1994)は、二元対称通信路向けの符号を計算量制限通信路向けに変換する方法を示した。これは、計算量が制限された通信路が挿入する誤りを訂正するためには、二元対称通信路のようなランダムな誤りを訂正する符号を用いれば十分であることを示しており、強力な変換方法である。この変換方法では送信者と受信者間で秘密鍵を共有する必要があるが、その鍵は1回限りしか有効でない。つまり、複数回誤り訂正する場合は複数の鍵を共有する必要がある。 この状況は、秘密鍵暗号における使い捨て鍵暗号に非常に似ている。使い捨て鍵暗号は、十分な秘匿性を達成できるが、複数回の通信を安全にするには複数の鍵を共有する必要がある。これに対して、現代的な暗号では、一つの鍵で任意の回数の通信を保証する安全性を考慮する。さらに、攻撃者が暗号化のための暗号化関数や復号関数を利用できる状況も想定した安全性が、標準的な安全性と考えられている。 そこで、誤り訂正符号においても一つの鍵を共有することで任意の回数の通信を保証し、さらに攻撃者である通信路が符号化関数や復号関数を利用できる状況を想定した安全性を導入した。この安全性は、暗号化方式における選択暗号文安全性を、誤り訂正符号へ自然と拡張したものである。次に、敵対者が符号化関数を利用できる場合には一意復号が不可能であることを考察し、誤り訂正の目的をリスト復号へと緩和することを考えた。さらに、この安全性を満たす明示的な方式を、一方向性関数および擬似ランダム符号の存在性を仮定することで示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算量制限通信路に対して、これまで着目されていなかった問題点を指摘し、その安全性を満たす方式の構成を示すことまでできており、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回示した符号化方式は秘密鍵の共有を必要とする方式であるが、それを公開鍵設定に拡張することが今後の目標である。特に、公開鍵設定では最適な符号化レートを達成する符号の構成は未解決問題であり、それを解決することは達成可能性の観点から重要であるため、その達成可能性の解明を目指す。 また、構成法で利用していた擬似ランダム符号は、秘密鍵設定において送受信者間で状態を動的に共有する場合は明示的に構成可能であるが、その他の設定では構成可能性が不明であるため、それを明らかにする。特に、公開鍵設定における構成可能性を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(7 results)