2015 Fiscal Year Annual Research Report
電荷非局在型色素に基づく光捕集システムの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical conversion of solar energy by artificial photosynthesis: a breakthrough by fusion of related fields toward realization of practical processes |
Project/Area Number |
15H00876
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
荒谷 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (60372562)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人工光合成 / 近赤外吸収 / 近赤外発光 / 有機半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外領域に吸収帯および発光をもつ化合物は、生体活動を可視化するためのイメージング材料の中でも生体の吸収が少ない領域(生体窓)を利用できるため、光を用いた生体非侵襲材料として望まれている。本研究では、π共役系の拡張と分子内電荷の非局在化を組み合わせることにより、キサンテン系色素よりさらに長波長に吸収と発光を示す化学的に安定な新規近赤外吸収・発光分子の構築を目指した。 キサンテン系色素であるフルオロンのπ共役系を拡張した分子1の合成は達成され、吸収スペクトル測定および発光スペクトル測定を行った結果、分子1のアニオン(1-A)は近赤外領域の778 nmを極大とする吸収および809 nmを極大とする蛍光を示すことを明らかにできた。フルオロンのアニオンと比較を行うと、それぞれ約250 nm長波長シフトしていることが示された。しかしながら、この分子1の脱プロトン化体は、室内光、酸素雰囲気下で速やかに退色し、またわずかな水分によっても求核攻撃を受けやすいことが明らかとなった。このため、13位にある求核攻撃を受けやすい炭素を、フェニル基の両オルトにフッ素を導入することで立体的に保護し、化学的な安定性の確保を検討した。アセトニトリル中、DBUにより脱プロトン化し、吸収・発光スペクトル測定を行った結果、アニオンF2-1-Aは分子1よりも若干長波長シフトし、近赤外領域の802 nmを極大とする吸収および837 nmを極大とする蛍光を示すことが明らかとなった。アニオン1-AとF2-1-Aについて安定性の評価を行った結果、F2-1-Aは1-Aと比較してDMSO溶液中、酸素雰囲気下、光照射条件において2倍程度安定であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
人工光アンテナ分子を合成して、従来のアンテナ分子では不可能であった可視から近赤外領域までの高効率光捕集を達成することを目的とし、π拡張型フルオロンの合成に成功した。π共役系を高いアスペクト比を保ったままで拡張することによって、比較的少ない芳香環ユニット数で吸収波長の長波長化が可能であることを明らかにし、発表後すでに3件の共同研究(国内2件、国外1件)に繋がっている。有望な分子であり、国内特許も出願中である。
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Strategy for Future Research Activity |
いよいよ、中央のベンゼン環に硫黄と窒素を導入した、メチレンブルーの有機合成化学的改変をテーマとする。ヘテロ原子を導入することによって、π電子共役系の変化に対して分子が柔軟な対応をすることが予想される。更に基本的には水溶性で有り、カウンターアニオンを変化するだけでメディアに対する溶解度も劇的に変わるはずである。両サイドの置換基も変化させる。
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Research Products
(34 results)
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[Journal Article] Toward Tetraradicaloid: The Effect of Fusion Mode on Radical Character and Chemical Reactivity2016
Author(s)
Pan Hu, Sangsu Lee, Tun Seng Herng, Naoki Aratani, Théo P. Gonçalves, Qingbiao Qi, Xueliang Shi, Hiroko Yamada, Kuo-Wei Huang, Jun Ding, Dongho Kim, and Jishan Wu
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 138
Pages: 1065-1077
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] A Diradical Approach towards BODIPY-Based Dyes with Intense Near-Infrared Absorption around λ =1100 nm2016
Author(s)
Yong Ni, Sangsu Lee, Minjung Son, Naoki Aratani, Masatoshi Ishida, Animesh Samanta, Hiroko Yamada, Young-Tae Chang, Hiroyuki Furuta, Dongho Kim, and Jishan Wu
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Journal Title
Angew. Chem. Int. Ed.
Volume: 55
Pages: 2815-2819
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] イミドナフタレン縮環TTFの合成と物性2015
Author(s)
山下 正貴, 荒谷 直樹, Burnett Ned, Zhang Lei, Briseno Alejandro, 山田容子
Organizer
第26回基礎有機化学討論会
Place of Presentation
愛媛大学(愛媛県松山市)
Year and Date
2015-09-24 – 2015-09-26
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