2016 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系酸化物半導体を用いた人工光合成システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical conversion of solar energy by artificial photosynthesis: a breakthrough by fusion of related fields toward realization of practical processes |
Project/Area Number |
15H00879
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊田 進太郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70404324)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 鉄系酸化物 / 光エネルギー変換 / 水素 / 光電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は光電気化学特性のモデリングソフトを用いて、計算と実験の両方から鉄系酸化物半導体電極(CaFe2O4;CFO)の特性向上を検討した。これまでの研究で、CFOは光電気化学反応中に表面が腐食するという課題があることが明らかになっていたので、表面保護層としてTiO2層の導入を検討した。保護層を導入するにあたり、モデリングソフトを用いて光電気化学特性のシミュレーションを実施したところ、酸化チタン層の膜厚を5-20nm導入し、可視光領域の光を照射すると、オンセットポテンシャルが大きく向上することが示唆された(紫外線を照射すると、オンセットポテンシャルが低下することも示唆された)。実際に、パルスレーザーデポジション法で酸化チタン薄膜をCFO電極上に成膜した光電気化学デバイス素子を作製して動作を確認したところ、確かにオンセットポテンシャルが可視光照射により向上(正電位側にシフト)した。さらに、このオンセットポテンシャル(約1.5V vs RHE)はこれまでp型酸化物半導体で報告されている値でもっとも正の電位を持つことが文献等の調査により判明した。 開発した酸化チタン/CFO電極とPt/酸化ルテニウム電極を短絡させて、水酸化ナトリウム水溶液中でCFO電極表面に470nmの光を照射すると、無バイアスでも光電流が発生し、CFO電極側で水素が安定に生成することが明らかになった。このような鉄系酸化物半導体単独で無バイアスで水から水素を発生させた系は初めての報告である。また、酸化チタン層の導入により、CFO電極の腐食が抑制され少なくとも1日以上は、安定に開発した光電気化学デバイスが動作することも確認している。今後の課題としては、生成する水素の量が少ないことであり、CFO電極内の内部抵抗の低減と結晶性の向上により再結合をさらに抑えることが今後の開発に求められる。
|
Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)