2015 Fiscal Year Annual Research Report
高い水素発生活性を実現する[FeFe]型ヒドロゲナーゼの構造デザイン
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical conversion of solar energy by artificial photosynthesis: a breakthrough by fusion of related fields toward realization of practical processes |
Project/Area Number |
15H00886
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
浅井 智広 立命館大学, 生命科学部, 助教 (70706564)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | [FeFe]ヒドロゲナーゼ / Hクラスター / 嫌気 / 緑色硫黄細菌 / GFP / 二次構造形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
非常に高い水素発生活性をもつ緑藻Chlamydomonas reinhardtiiの[FeFe]ヒドロゲナーゼHydA1は、酵素活性中心として鉄と硫黄から成る金属錯体「Hクラスター」をもつ。本年度の研究では、ホロ型酵素の原子分解能構造解析を目指し、緑色硫黄光合成細菌Chlorobaculum tepidumの嫌気的な異種遺伝子の発現系(酸素分圧1 ppm以下)を利用し、Hクラスター成熟化タンパク質との共発現によるホロ型HydA1の大量発現を試みた。 HydA1上でのHクラスター形成には、3種類の成熟化タンパク質HydE、HydF、HydGが必要である。大腸菌での過剰発現に成功例がある嫌気性細菌Clostridium acetobutylicum由来のhydEFG遺伝子クラスターをC. tepidumアポ型HydA1過剰発現株へ導入することで、HydEFGとHydA1の共発現を試みた。この際,導入するhydEFGの塩基配列について、GC含量、コドン使用頻度、mRNAの二次構造形成、N末端領域のアミノ酸配列を検討し、異種遺伝子の過剰発現に必要な塩基配の列条件を探った。その結果、C. tepidumでのHydEFGの発現量は、N末端領域をコードする塩基配列に強く依存していることがわかった。GFPを使った異種遺伝子発現のモデル実験から、C. tepidumでの異種タンパク質の発現には、開始コドンから10コドン程度までのmRNAの二次構造形成確率が大きく関係していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の主要な目的であった、Hクラスターの成熟化タンパク質HydEFGのC. tepidumでの異種発現に成功した。また、[FeFe]ヒドロゲナーゼのアポ型酵素のin vitro成熟化実験にも成功しており、次年度の研究でホロ型HydA1の異種発現が期待できる結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Hクラスターの成熟化タンパク質HydEFGのC. tepidumでの過剰発現系の構築を進める。本年度の研究から、タンパク質のN末端領域をコードする塩基配列がタンパク質発現量に大きく影響することがわかったので、N末端タグの検討や同義コドンの置換による塩基配列の最適化により、HydEFGの発現量の向上を目指す。また、HydA1についてもPetFの融合などを検討し、C.tepidumでの効率的なホロ型酵素の成熟化方法を探る。
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Research Products
(11 results)