2015 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ照射による組織細胞への分子レベルでの影響の超微形態学的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Plasma medical innovation |
Project/Area Number |
15H00901
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
秋元 義弘 杏林大学, 医学部, 教授 (60184115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プラズマ / 創傷治癒 / 皮膚 / ガレクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、組織細胞に対する低温プラズマの影響を、皮膚の創傷治癒過程を実験モデルとして使用し、超微形態学的に明らかにすることである。低温プラズマは、止血に有効であり、皮膚の創傷治癒を促進し、上皮組織の再生を促進することが報告されている。特に炎症性皮膚疾患の治療に低温プラズマの応用が期待されている。一方、これまでのところ、ほとんどすべての研究は、光学顕微鏡レベルであったが、電子顕微鏡レベルでの体系的な研究はまだ行われていない。今回、低温プラズマによる創傷治癒過程の分子機構を解明するため、低温プラズマによる止血初期の超微細構造を電子顕微鏡により調べ、高周波電気凝固による止血初期の超微細構造と比較した。さらに、皮膚の創傷治癒に関与するガレクチン-1, -2, -3のこれらの皮膚における発現を免疫組織化学的に検討した。 高周波電気凝固による創傷皮膚では、細胞死ならびにコラーゲン線維の熱による変性が観察されたのに対し、低温プラズマ照射した創傷皮膚では細胞死ならびにコラーゲンの変性はほとんど認められなかった。さらに、低温プラズマ照射した創傷皮膚では、表層にパラフィブリルからなる薄膜が形成されることが明らかになった。 免疫組織化学的に検討すると高周波電気凝固による創傷皮膚では、ガレクチン-1, -2, -3いずれも発現が抑制されたのに対し、プラズマ照射した創傷皮膚ではガレクチン-1, -2, -3いずれもその発現の増加が認められ、プラズマ照射による創傷治癒におけるガレクチンの重要な役割が明らかになった。 創傷治癒の過程で、重要な働きをする筋線維芽細胞の細胞骨格タンパク質に注目して解析を行うため、O-GlcNAc化アクチン抗体、リン酸化アクチン抗体、非修飾アクチン抗体を作製し、予備的な実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況は、おおむねは順調に推移していいるが、ガレクチンに対する市販の抗体がうまく反応しないことが起こったため、別の抗体を購入し、再度条件検討から行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の結果を踏まえて、さらに今後は、他のガレクチン異性体の発現の変化を免疫組織化学的に調べ、プラズマ照射で得られる良好な創傷治癒過程でどのガレクチンが重要であるか、さらにプラズマ照射の作用メカニズムを明らかにする。また、細胞内タンパク質に対する放射線照射の作用には、糖修飾 (O-GlcNAc修飾) を増加させることが知られていることから、このタンパク質への糖修飾を指標とし、プラズマ照射に引き続いて生じる「細胞内タンパク質の糖修飾への影響」の解析を行っていく予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Plasma blood coagulation without involving the activation of platelets and coagulation factors.2015
Author(s)
Ikehara S, Sakakita H, Ishikawa K, Akimoto Y, Yamaguchi T, Yamagishi M, Kim J, Ueda M, Ikeda J, Nakanishi H, Shimizu N, Hori M, Ikehara Y
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Journal Title
Plasma Process. Polym.
Volume: 12
Pages: 1348-1353
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Sentinel node biopsy for the head and neck using contrast-enhanced ultrasonography combined with indocyanine green fluorescence in animal models: a feasibility study.2015
Author(s)
Kogashiwa Y, Sakurai H, Akimoto Y, Sato D, Ikeda T, Matsumoto Y, Moro Y, Kimura T, Hamanoue Y, Nakamura T, Yamauchi K, Saito K, Sugasawa M, Kohno N
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 10
Pages: e0132511
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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