2015 Fiscal Year Annual Research Report
多元素が関わる酵素反応機構の計算化学的解明
Publicly Offered Research
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
15H00913
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 聖治 茨城大学, 理学部, 教授 (50332549)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酵素反応機構 / 量子化学計算 / 分子動力学計算 / QM/MM法 / 金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ヘム分解産物であるビリベルジンIXα(BV)がフェレドキシン依存的な酵素phycocyanobilin:ferredoxin oxidoreductase(PcyA)によって還元され、生成する。本研究では、中性子結晶構造解析によって近年明らかになった酵素PcyAと基質複合体の水素原子を含む構造を用いた分子動力学シミュレーション(AMBER)を行うことで基質と周囲残基との相互作用について検討した。基質BVとPcyAの間の水素結合の揺らぎについて判明した。 (2) ニッケル触媒によるメトキシナフタレンのC-O結合開裂反応、Pd触媒によるシアノエステル化反応、Rh触媒のアリルアミンの水素転移反応など、触媒反応のメカニズムについても添加する塩の効果について、量子化学的な検討を行った。2番目の研究については学術誌論文に印刷ずみ(Webで報告)、Rh触媒の反応メカニズムの研究については、同じ新学術領域の公募班員との共同研究である。 (3) プロスタグランジン類の生合成酵素触媒の反応に関するQM/MM計算を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵素反応機構については、巨大系を扱うことによりチャレンジングな課題である。そのため、QM/MM計算を行うに当たり、困難さが予想されていた。この系に対する分子動力学計算は、非常に示唆を富む。現在QM/MM計算はすでに開始しており、今後の進捗が期待される。さらに、金属触媒の反応の理論的研究に関しては、現在学術誌論文に1報印刷中、1報は投稿中である。新学術領域の班員との共同研究もいくつかの課題について現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、酵素反応に対するQM/MM計算を行うに対しては、MM領域を適切に設定するとともに、酵素ー基質複合体との中性子結晶構造解析のデータも注意深く見積もる必要がある。さらに、酵素や周りの水の役割に着目して、新たな知見が得られるように努力したい。
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Research Products
(10 results)