2015 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ケイ素化学種を利用するオレフィン化反応の開発と反応機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Stimuli-responsive Chemical Species for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
15H00934
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安藤 香織 岐阜大学, 工学部, 教授 (70211018)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シス選択的 / α,β-不飽和スルホン / Peterson反応 / 超原子価ケイ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
α,β-不飽和スルホンは合成上有用な化合物であるが、トランス体は比較的容易に得られるもののシス体を選択的に合成する方法は開発されていなかった。我々は立体選択的にシス体を合成するためにケイ素の特性を利用する新しいPeterson試薬の開発を行った。通常のPeterson試薬ではトリメチルシリル基が用いられるが、その場合塩基存在下にアルデヒドと反応させても一般にシスとトランスの1:1混合物になってしまう。この理由として通常のPeterson試薬から得られるアニオンはジアステレオマー混合物になっていることが考えられた。我々はケイ素上に酸素置換基を導入することにより、カチオン金属との配位による配座の固定を目指して新しいPeterson試薬を合成した。この新試薬を用いLi塩基を用いて種々のアルデヒドとの反応を行ったところ、多くの場合に94%以上の選択性でシス-α,β-不飽和スルホンが得られることが分かった。結果は論文にまとめOrg. Lett. 2015, 17, 6026に報告した。現在はアリールスルホンだけでなく脂肪族スルホン試薬の合成を行い、さらにアルデヒドだけでなくケトンとの反応についても調べている。また、超原子価ケイ素を含むと考えられる反応活性種あるいは反応中間体の構造についてNMR等を用いて解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
選択的試薬の開発に成功し、論文でも報告した。なお、今回報告した論文はSYNFACTS, 2016, 12, 301でハイライトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
Peterson-スルホン試薬から得られるアニオンの構造の解析を行い、反応中間体が存在すればその構造解析を行い、立体選択性の制御因子を含めた反応機構の解明や超原子価ケイ素化学種の解明を行っていく。さらに、脂肪族スルホン試薬とアルデヒドとの反応をおこない、その立体選択性や合成法としての確立を行う。アルデヒドだけでなくケトンとの反応についても調べている。今回開発したシス選択的Peterson試薬の手法を用いればα,β-不飽和ケトンやアミドなどの合成にも応用可能と考えられるため、そのような試薬の開発とオレフィン化反応の検討も行う。
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Research Products
(13 results)