2015 Fiscal Year Annual Research Report
多様な刺激に応答するπ組織体の構築
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
15H00982
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村岡 貴博 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (70509132)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリエチレングリコール / 結晶多形 / 熱応答 / 環状分子 / 両親媒性分子 / 生体関連化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、熱応答結晶多形を軸とする機能性分子開発を行う上で必要となる、結晶多形を示す分子構造の一般化を目指した。これまでの知見から、芳香族性部位とオリゴエチレングリコールを交互に連結した環状構造が熱応答結晶多形において有効であることが示されており、今回は特に芳香族性部位の構造について一般化を試みた。比較的単純な構造であるビス(フェニルエチニル)ベンゼンを基盤構造とし、オリゴエチレングリコールとの連結部位や連結構造について複数の分子を開発し、示差走査熱量測定、および偏光顕微鏡観察を行い比較検討を行った。また、オリゴエチレングリコールとして、テトラエチレングリコールを用いた。その結果、対称性が高い分子構造では、加熱により結晶から液体への通常の相転移が見られたが、一部に屈曲した構造を導入することで、融点の低下と液晶などの中間相が現れることが示された。また加熱の速度や前処理等を工夫することで、結晶から結晶へ、または結晶から高次の液晶相への転移が示唆される結果が得られた。この結果より、結晶多形を示す分子構造の条件として屈曲構造が挙げられることが示唆されている。連結構造について、エーテル結合とエステル結合を検討したところ、エーテル結合において結晶多形を示唆する現象が見られた。以上より、熱応答結晶多形を示す分子構造条件を絞り込む成果を上げることができ、次年度においてその応用を試みる下準備ができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である熱応答性結晶多形現象を利用した動的π電子系分子材料開発を行う上で重要と成る結晶多形を示す分子構造の一般化において、一定の成果を上げることができ、これまでのところ順調に進展している。熱応答性結晶多形を示す分子は大変珍しく、これまでに知られているものは互いに構造類似性が無く、「狙って実現する」ことは極めて困難であった。その点において、これまでに得られた成果に基づく必要条件を満たす分子設計を行うことで、熱応答性結晶多形を高確率に実現する道筋が得られたことは、重要な進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた熱応答性結晶多形を示す分子の構造必要条件を踏まえ、今後は芳香族性部位に機能性ユニットを導入し、熱応答性結晶多形を利用した動的機能性分子材料開発を目指す。具体的には、伝導率や光誘起電子移動などの物性制御を目指す。
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Research Products
(19 results)