2015 Fiscal Year Annual Research Report
π造形システムの電子励起状態制御
Publicly Offered Research
Project Area | pi-System Figuration: Control of Electron and Structural Dynamism for Innovative Functions |
Project/Area Number |
15H01003
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70418698)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / 励起ダイナミクス制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多環芳香族炭化水素誘導体およびその集合体における励起ダイナミクス制御を目的とする。ヘリセンは芳香環が螺旋状に縮環した異方性を示す分子であり、円偏光発光 (CPL) 材料への応用が期待される。しかしながら、一般に蛍光量子収率 が極めて低く、その向上が課題である。その戦略として、1) 分子内に電子供与 (Push) と求引基 (Pull) を有するPush-Pull分子への展開、2) 分子内に発光性部位の導入が挙げられる。本研究では特に、優れた発光特性を有する電子求引性のキノキサリンおよびスルホン骨格に注目した。キノキサリンは電子供与基の導入に伴うPush-Pull分子の構築によって発光色の制御や蛍光量子収率の向上が知られている。 また、スルホン骨格を分子内に導入することで蛍光量子収率が向上することも知られている。 我々はこれまでにキノキサリンを縮環したカルボ[7]ヘリセンの合成に成功しているが、蛍光量子収率の飛躍的な向上には至っていない。以上を踏まえ、本研究では、まず、TTH (Push) にキノキサリン (Pull) を縮環し、さらに電子供与または求引性置換基を導入した新規Push-Pull分子 に取り組んだ。次に、PTTHをスルホン化したテトラスルホン[9]ヘリセン の合成を行い、励起ダイナミクス制御による蛍光量子収率の飛躍的な向上ならびにCPLの発現へと展開した。いずれも絶対蛍光量子収率0.3~0.4に達し、良好なCPL特性の観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヘリセン誘導体の励起ダイナミクス制御とCPL特性はいずれの系においても非常に良い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はイミド基等を導入したヘリセンの展開を試みる。また、一重項分裂との融合展開についても進める予定である。
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Research Products
(10 results)