2015 Fiscal Year Annual Research Report
エレクトロマグノン過程に伴うスピン波スピン流の生成理論
Publicly Offered Research
Project Area | nano spin conversion science |
Project/Area Number |
15H01022
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮原 慎 福岡大学, 理学部, 准教授 (90365015)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 物性理論 / スピンエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、強誘電と(反)強磁性が共存するマルチフェロイックス物質において、スピンと電気分極の結合を利用することで、スピン波スピン流を誘起する新しい機構を理論的に明らかにすることを目的とする。電気分極とスピンの結合を用いて、通常の磁性体中とは大きく異なる性質を示すスピン波スピン流を誘起する理論を確立することが、その性質を生かした省電力エレクトロニクスへの応用技術の確立、発展につながると期待されている。 平成27年度は、対称性の低い結晶構造における、反対称スピン積と電気分極の結合に関する微視的機構を明らかにした。この成果を利用することで、電場活性なスピン波スピン流が生成可能となる条件が増加した。この結果は、単純な強磁性状態や反強磁性秩序状態でも電場でスピン波が誘起できることを示唆しており、新規スピン波スピン流の生成理論の構築につながることが期待される。一方では、典型的なマルテフェロイックス物質であるらせん秩序におけるスピン波スピン流の伝搬特性の解明のため、LLG方程式を数値的手法を用いた研究を行っている。磁性体の一部に、動的な電場や磁化を印加することで、スピン波スピン流の伝番特性を明らかにしている。平成28年度には、静的な外部磁場や電場で、磁気秩序状態を制御することで、スピン波スピン流の制御を行う可能性について研究を推進していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピンと電気分極の結合機構に関する研究成果を論文として発表している。マルチフェロイックス物質におけるスピン波スピン流の生成機構に関する研究にもついても、既に成果が出はじめており、平成28年度に、研究を推進することで、成果を論文投稿可能となる予定である。以上のことより、おおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
マルテフェロイックス物質の一部に、光を照射しマグノンを局所的に励起した際のスピン波スピン流の伝搬についてLLG方程式を数値的に解くことで、解析を行う。典型的なマルチフェロイックス物質であるらせん磁性体のスピン波スピン流の伝搬機構を明らかにすることで、新しいスピン波スピン流の生成機構構築を試みる。数値計算で得られたスピン波スピン流の特性をまとめ、実験で観測するための手法、条件を明らかにし、新学術の研究グループ内の実験グループと共同研究を開始することで、新規スピン波スピン流の観測を目指す。
|
Research Products
(3 results)