2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知症診断のためのAβ,糖代謝,脳形態変化,血中成分の経時変化統合手法の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary computational anatomy and its application to highly intelligent diagnosis and therapy |
Project/Area Number |
15H01131
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
木村 裕一 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (60205002)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / PET / アミロイドイメージング / 動態解析 / 医用画像 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、陽電子断層装置(PET)及びMRIを用いたアルツハイマー病(AD)の早期診断のための情報統合手法の構築を目的としているが、2015年度は、(1) アミロイドβ(Aβ)画像作成アルゴリズムの開発, (2) データベースの構築 (3) 多元データ取扱いのためのアルゴリズムの構築の3点を実施する予定であった。それぞれに対する現状は以下の通りである。
(1) Aβ蓄積量を定量画像化するために必要である、参照領域に自動設定アルゴリズム(AutoRef)、及びAβ画像の雑音低減アルゴリズム(CAKS)の開発を行った。AutoRefについては、86例の臨床画像を使用した性能評価を通してアルゴリズムをほぼ確定するに至り、その経過は、電子情報通信学会・医用画像研究会(11月, 奈良先端大; 1月, 那覇)で発表すると共に、PETについては世界的に最も権威のある米国核医学会(SNM, 6月, 米国サンディエゴ)で口頭発表することが決まっている。CAKSについては、Aβ画像の撮像で使用されるアミロイドプローブの体内での動態に対する可用性を検討し、十分な性能を有することを確認し得た。以上から、本研究で重要となるAβ蓄積に関する定量画像の生成の見通しを確立することが出来た。 (2) 本研究の遂行に当っては、アルゴリズムの性能評価や改善点の明確化に使用するために、医師による診断情報を伴う臨床画像の確保が重要であるが、2施設から200例の提供を受けることが出来たことから、本課題の遂行に当って十分な例数を確保した。 (3) 機械学習的なアプローチについて調査を行い、アルゴリズム毎の可用性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アルゴリズム開発、特にAutoRefについては、当初の予想以上に進捗し、アルゴリズムがほぼ確定できたことと、その結果としてAutoRefを臨床データに対して適用するための実装に当っての詳細な修正点まで明らかになった。また、CAKSについては、研究開始時に策定したアルゴリズムが所期の性能を有することが明らかになったことから、結果として、当所計画以上に進展した。更に、臨床データの確保は本課題で重要である一方で、認知症を含む高齢者のPET画像が必要であることから、その確保は容易ではない。しかし、2つのPET施設と共同研究の関係を構築し得たことから、200例を確保し得た点は予想以上であった。
以上から、2015年度の本研究は、当初の計画以上に進展することを得たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、以下について研究を進める。
AutoRefについては、アルゴリズムがほぼ確定したことから、臨床データを使用した性能評価の実施を経て論文化する。また、6月に米国で開催される米国核医学会年次大会で口頭で発表することが決定していることから、脳PET領域の研究者らとの議論を通して、アルゴリズムの普及を図る。 CAKSについては、シミュレーションによる性能の評価を確定すると共に、臨床画像を使用した性能の評価に進める。特に、Aβの蓄積が不鮮明な例群について、CAKSを適用した場合としなかった場合の両画像に対する専門医による読影上の判断の変化を検討する。既に、近畿大学医学部PETセンターとの共同研究の下で本研究を進めており、脳PET画像の読影を専門とする医師の参画を得ていることから、実施は可能である。 AD或は認知症の進行に伴って、脳局所での萎縮が発生することから、MRI画像からの局所萎縮の定量評価を行い、これを、CAKS及びAutoRefから提供されるAβ蓄積量の定量値と組合わせることで、ADの超早期診断の可能性を検討する。これに当っては、多元計算解剖学A-2班に所属される、東北大学 伊藤康一先生との共同研究の体制が既に出来上がっているので、この下で進める。 これには統計モデルの構築が必要となり、2016年度からの新規の内容となる。一般に脳病変に対する画像診断では、対称性の破綻といった局所的な変化が手掛かりとなることから、グラフィカルモデルなど、複数のデータ間の相関を評価する手法を検討する予定である。これに当っては、多元計算解剖学 A-1班統括の、名古屋工業大学の本谷秀堅先生との共同研究の体制が既に出来上がっており、この下で研究作業を進める。
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Research Products
(5 results)