2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖抑制シグナルによる中心体一基底小体変換機構
Publicly Offered Research
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
15H01197
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70128396)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞・組織 / シグナル伝達 / 繊毛 / 中心体 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次繊毛は、細胞外からの機械的・化学的刺激を受容・伝達するアンテナとして、細胞の増殖・分化の制御や組織の形成・恒常性維持に重要な機能を担っている。一次繊毛は細胞休止期に形成されるが、増殖抑制シグナルによる一次繊毛形成の分子機構は不明である。増殖抑制シグナルによって細胞が休止期に移行すると、母中心小体遠位での繊毛小胞の形成、繊毛小胞と細胞膜の融合、軸糸の伸長が連動的に起こり、中心体は基底小体に変換され、一次繊毛が細胞膜上に形成される。軸糸が伸長するためには、軸糸伸長阻害蛋白質であるCP110の母中心小体からの解離が必要であるが、CP110の解離機構は不明である。本研究では、Hippo経路の下流キナーゼであるNDR2、及び増殖抑制シグナル依存的に母中心小体に局在するTTBK2キナーゼを中心に、これらの活性化機構と一次繊毛形成における機能を解明することを目的として研究を行った。本年度は、TTBK2の活性化機構を解析し、母中心小体局在分子Cep164と結合するDNA損傷応答キナーゼATRによる活性化について検討し、TTBK2がATRによってリン酸化されること、ATR阻害剤によって一次繊毛形成が抑制されること、を見出した。また、TTBK2はCep164とDvlの解離を引き起こすことも見出した。インビトロキナーゼアッセイによってTTBK2の基質としてCP110, Cep97を同定したが、これらのタンパク質の母中心小体からの解離に対しては、TTBK2によるリン酸化だけでは十分ではないことを示す結果を得た。また、NDRキナーゼの活性化因子であるFurryがYAPの核移行を制御していることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、TTBK2の活性化機構を解析し、母中心小体局在分子Cep164と結合するDNA損傷応答キナーゼATRによる活性化について検討し、TTBK2がATRによってリン酸化されること、ATR阻害剤によって一次繊毛形成が抑制されること、を見出した。また、TTBK2はCep164とDvlの解離を引き起こすことも見出した。インビトロキナーゼアッセイによってTTBK2の基質としてCP110, Cep97を同定したが、これらのタンパク質の母中心小体からの解離に対しては、TTBK2によるリン酸化だけでは十分ではないことを示す結果を得た。また、NDRキナーゼの活性化因子であるFurryがYAPの核移行を制御していることも明らかにした。これらの成果が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
TTBK2の活性化機構については、ATRによるリン酸化部位を同定し、ATRによる活性化とその増殖抑制シグナル依存性について検討する。また、Cep164との結合による活性化機構についても検討する。また、TTBK2によるCep164とDvlの解離については、その一次繊毛形成における機能を解析する。NDRとFurryについては、YAPの不活性化と一次繊毛形成の相関を解析する。また、CP110の除去を制御するキナーゼや結合因子について、さらに解析を進め、増殖抑制シグナルによる中心体ー基底小体変換機構を解明する。
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Research Products
(7 results)