2015 Fiscal Year Annual Research Report
シリア・中心体系と細胞極性制御の分子基盤の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Cilium-centrosome system regulating biosignal flows |
Project/Area Number |
15H01209
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
貝淵 弘三 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00169377)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞極性 / シグナル伝達 / リン酸化 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、シリア・中心体形成や極性形成に関与するキナーゼについてリン酸化プロテオミクスを基盤とした基質探索と機能解析を行うことで、下流のリン酸化シグナルおよび細胞の非対称性を担保する分子基盤を明らかにすることを目指している。 平成26年度に引き続き、平成27年度にはシリア・中心体形成や極性関連キナーゼであるTTBK2、NEK1、GSK3b、CDK5、MAPK1の基質の探索を行い、多数の基質候補を得た。TTBK2の基質候補として得られたKIF2Aに注目して解析を行った。KIF2Aは微小管脱重合活性を持つユニークなキネシンファミリーメンバーで、微小管のダイナミクスに関与するが、TTBK2がKIF2Aの135番目のSerをリン酸化して脱重合活性を抑制することを示した。TTBK2はCEP164を介してシリア基底部に、+TipsであるEB1/3を介して微小管の成長端に局在することが知られている。本研究では、TTBK2は微小管の成長端でKIF2A活性を抑制することで安定した微小管成長をもたらすことを示した。HeLa細胞を用いた創傷治癒アッセイにおいて、TTBK2の機能抑制によって細胞の遊走速度が低下し、また方向性にも影響が認められたことから、TTBK2は遊走先端においてKIF2Aの活性を調節することで微小管のダイナミクス・配向を制御し、方向性を持った細胞遊走に寄与すると考えられる。 また、リン酸化モチーフを認識する14-3-3やWWドメイン、FHAドメインを用いて、細胞内のリン酸化蛋白質の効率的な濃縮を試みた。その結果、14-3-3では中心体・紡錘体局在蛋白質が、またFHAドメインでは中心体・紡錘体局在蛋白質に加えてキネトコア・セントロメア局在蛋白質が得られ、これら蛋白質のリン酸化状態を解析することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、シリア・中心体系と極性関連キナーゼの基質探索とその機能解析を行うことで、シリア・中心体系と細胞極性形成の間のシグナルフローを見出すことを目指している。平成27年度にはシリア形成制御に関わるキナーゼTTBK2の新規基質としてKIF2Aを同定し、TTBK2が微小管成長端でKIF2A活性を調節することが方向性のある細胞遊走に重要であることを示した。TTBK2やそれ以外のキナーゼについても多数の基質候補蛋白質を得ており、平成28年度には引き続きその解析を行う予定である。 また、上記キナーゼの機能抑制・活性化条件下のリン酸化プロテオミクス解析については、平成27年度にリン酸化モチーフ認識プローブ(14-3-3やFHAドメイン)を用いた解析系の構築を行ったので、平成28年度に解析を行う。さらに、シリア制御・構成蛋白質のインタラクトーム解析も行っており、上記のプローブに加えて、キナーゼの活性によって、これら蛋白質間の相互作用に影響があるか、についても解析を開始した。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、TTBK2がシリア形成だけでなく細胞極性の形成・維持にも関わっていることを示した。TTBK2の新規基質として同定したKIF2Aは、シリア形成にも関与が示唆されており、今後、TTBK2を介したシリア形成と細胞極性との関わりを解析すると共に、TTBK2以外の関連キナーゼ基質の機能解析を進める。 また、リン酸化モチーフ認識プローブ(14-3-3やFHAドメイン)を用いた解析系を用いて、上記キナーゼの機能抑制・活性化条件におけるリン酸化プロテオミクス解析を行う。さらに上記のプローブに加えて、シリア制御・構成蛋白質のインタラクトーム解析を行い、シリア構成蛋白質の動態を解析する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] PAR3-aPKC regulates Tiam1 by modulating suppressive internal interactions.2016
Author(s)
Matsuzawa, K., Akita, H., Watanabe, T., Kakeno, M., Matsui, T., Wang, S., and Kaibuchi, K.
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Journal Title
Mol Biol Cell
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Kinase-interacting substrate screening is a novel method to identify kinase substrates.2015
Author(s)
Amano, M., Hamaguchi, T., Shohag, M. H., Kozawa, K., Kato, K., Zhang, X., Yura, Y., Matsuura, Y., Kataoka, C., Nishioka, T., and Kaibuchi, K.
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Journal Title
J Cell Biol
Volume: 209
Pages: 895-912
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Phosphoproteomic Analysis Using the WW and FHA Domains as Biological Filters.2015
Author(s)
Hasanuzzaman Shohag, M., Nishioka, T., Uddin Ahammad, R., Nakamuta, S., Yura, Y., Hamaguchi, T., Kaibuchi, K., and Amano, M.
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Journal Title
Cell Struct Funct
Volume: 40
Pages: 95-104
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] TTBK2 with EB1/3 regulates microtubule dynamics in migrating cells through KIF2A phosphorylation.2015
Author(s)
Watanabe, T., Kakeno, M., Matsui, T., Sugiyama, I., Arimura, N., Matsuzawa, K., Shirahige, A., Ishidate, F., Nishioka, T., Taya, S., Hoshino, M., and Kaibuchi, K.
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Journal Title
J Cell Biol
Volume: 210
Pages: 737-751
DOI
Peer Reviewed
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