2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイコプラズマ滑走タンパク質の構造ダイナミクス解析
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
15H01311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 宗仁 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90302801)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タンパク質 / 立体構造 / マイコプラズマ / 滑走運動 / X線小角散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイコプラズマの滑走運動は新規の運動様式であり、そのメカニズムの解明が重要課題である。この運動は、Gli349タンパク質が「足」のように機能し、構造変化することによって起きる。しかし、Gli349の運動機構を明らかにするためには、Gli349の詳細な立体構造とダイナミクスの解明が必要である。そこで本研究では、Gli349を短い構造ユニットに断片化して、各々の立体構造とダイナミクスを解明したのち、それらを連結して再構築することにより、Gli349全体の詳細構造とダイナミクスの解明を目指す。平成27年度は、次の成果を得た。
タンパク質のアミノ酸配列からその可溶性やドメイン境界を予測する種々のサーバーを用いて、Gli349を断片化したタンパク質のコンストラクトを33種設計し、大腸菌で発現させた後、高純度精製を試みた。可溶性のタンパク質断片が精製できたI(HD)、O(HD)の2種類のコンストラクトについて円二色性スペクトルとX線溶液散乱の測定を行った結果、どちらもαへリックスとβシート構造を持つこと、および、約24 A程度の慣性半径を持つことが示唆された。
今回得られた可溶性断片は、ドメインの境界にヘリックス構造がある場合のドメイン境界を予測するプログラムH-DROPに基づいて作製したものであった。したがって、Gli349のドメイン境界のいくつかはヘリックス構造を形成していると考えられる。このことは、Gli349の全体構造が一方向に伸びた形状をしていることと矛盾しない。また、X線散乱曲線や構造予測などによるモデリング構造から、断片化ドメインではN末端とC末端が反対側にあって、天然タンパク質よりもやや広がった構造をとることが示唆された。さらに、今回得られた可溶性断片は、NMR測定も可能な濃度まで濃縮可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、可溶性の高いGli349タンパク質断片を得ることができ、概形構造についての情報を得ることができた。今後、NMR法などを用いて、これらの可溶化断片の構造解析が可能になると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに得られた可溶性断片の詳細な立体構造と運動ダイナミクスを、NMR法などを用いて詳細に解析していく予定である。また、Gli349のトリプシン消化断片の構造解析も進める。
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Research Products
(10 results)