2015 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の浮揚性を司るガス小胞の構造と運動多様性出現機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Harmonized supramolecular machinery for motility and its diversity |
Project/Area Number |
15H01315
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田代 陽介 静岡大学, 工学部, 助教 (30589528)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物 / ガス小胞 / べん毛運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
幾つかの微生物はその細胞内にタンパクで構成されたガス小胞を形成し、自身の浮力を調整する機構を有している。ガス小胞形成は細胞の浮力を向上させるため、鞭毛等の運動器官の無い生物種にとって光・酸素・有機物の獲得に大きく貢献する運動形態として機能している。これまでにガス小胞はシアノバクテリアや高度好塩古細菌を中心に研究されてきたが、その遺伝子群を保有しているにも関わらずガス小胞形成が確認されない微生物種も多く、その生成機構、生理学的機能、起源に関して未だ不明な点が多い。本研究で対象とするセラチア属細菌は既知のガス小胞形成微生物とは異なり、多様な形状のガス小胞を形成する他、べん毛運動とガス小胞形成の二種の運動能を使い分ける特性を有している。本研究では、セラチア菌の浮揚性を司るガス小胞の複雑な分子構造を解析するとともに、運動性を使い分けるメカニズムを解明することを目的としている。 ガス小胞形成をコードする遺伝子群に存在する各遺伝子の欠損株を用いて、それらが形成するガス小胞を透過電子顕微鏡で観察した。その結果、小型のガス小胞のみを形成する遺伝子欠損株が2株存在した。それら欠損株はガス小胞を形成するものの細胞の浮力に影響を与えない事が示された。また、この小型ガス小胞は外部の圧力に対して耐性を有する事が示唆された。これらの遺伝子はガス小胞形成における小胞伸長に関与していると考えられた。また、ガス小胞形成とべん毛運動性の関係を調べたところ、培地組成と培養条件によってガス小胞形成能が変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガス小胞の構造と形成機構に関して新たな知見を獲得した。また、ガス小胞形成に関与する環境因子を特定した事から、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ガス小胞のより詳細な構造を引き続き透過電子顕微鏡法を用いて解析する。また、ガス小胞形成とべん毛運動を調節する新たな因子を、変異株作製とガス小胞観察、遺伝子発現解析等により探索する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Interspecies interactions are an integral determinant of microbial community dynamics.2015
Author(s)
Fatma A Aziz, Kenshi Suzuki, Akihiro Ohtaki, Keita Sagegami, Hidetaka Hirai, Jun Seno, Naoko Mizuno, Yuma Inuzuka, Yasuhiro Saito, Yosuke Tashiro, Akira Hiraishi, Hiroyuki Futamata
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Journal Title
Frontiers in Microbiology
Volume: 6
Pages: 1148
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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