2015 Fiscal Year Annual Research Report
核内長鎖ノンコーディングRNAによる転写サイクル制御
Publicly Offered Research
Project Area | Integral understanding of the mechanism of transcription cycle through quantitative, high-resolution approaches |
Project/Area Number |
15H01349
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | RNA / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写サイクルの制御を理解するため、これまでに多種多様なタンパク質性因子に着目して多くの研究がなされてきた。これに対し、最近、タンパク質をコードしない機能性RNA分子(ノンコーディングRNAと総称される)が転写制御や転写と共役した様々な遺伝子発現制御において重要な役割を果たしていることが判明してきた。そこで本研究では、転写サイクルの制御における長鎖ノンコーディングRNAの機能を調べることを目的とした研究を遂行する。 まず、転写制御を理解する上では、転写レベルでの誘導が起きる条件での遺伝子発現変動を調べることが重要な第一歩となる。この観点から外的ストレスに応答して誘導される長鎖ノンコーディングRNAの網羅的スクリーニングを実施した。スクリーニングに当たっては、報告者がこれまでに独自に構築したノンコーディングRNAデータベースを活用した。その結果、病原体感染によってエンハンサー領域からenhancer RNAが誘導されることを見いだした。enhancerRNAの存在は以前にも知られていたが、その具体的機能についてはほとんど分かっていなかった。さらに、このenhancerRNAをノックダウンした細胞は病原体感染に高感受性となることも見いだした。この結果は、enhancerRNAが病原体感染防御において重要な役割果たすことを示す結果である。enhancerRNAの機能解明は転写サイクルの研究にとっても極めて重要な意味を持つため、enhancerRNAがどのようにして病原体抵抗性遺伝子発現制御を担うかについて研究を進めた。その結果、enhancerRNAによって転写制御される候補遺伝子を同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していなかった、病原体感染防御に重要な新規のノンコーディングRNAとしてenhancerRNAを見いだすことができたため、予定以上の進展があったと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
enhancerRNAによって転写制御を受ける標的遺伝子を同定し、この転写制御の具体的メカニズムを解明する。具体的には、enhancerRNAに直接結合する転写制御因子の同定、ならびに、転写制御因子による標的遺伝子(病原体抵抗性を付与する遺伝子)の転写制御機構を分子生物学的・生化学的手法を用いて調べる。
|