2015 Fiscal Year Annual Research Report
筋線維芽細胞による死細胞の貪食が組織の線維化に及ぼす影響の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
15H01383
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仲矢 道雄 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80464387)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織が損傷すると、細胞死をきっかけに、組織の線維化が実行される。これまで、組織線維化の微小環境においては「マクロファージによる炎症惹起物質の認識と死細胞の貪食」→「マクロファージからのTGF-βやPDGF、ケモカインなどの放出」→「近接する筋線維芽細胞によるそれら放出物質の感知」→「筋線維芽細胞による線維化の実行」という順に従って、応答が起こると考えられてきた。申請者は、心筋梗塞時の死細胞除去メカニズムを研究する過程で、これまで死細胞を貪食すると思われていなかった、筋線維芽細胞がアポトーシスをおこした細胞を効率よく貪食することを見出した。この発見は、これまでマクロファージからの指令を受けて、線維化を実行する細胞としてのみ捉えられていた筋線維芽細胞が、実はマクロファージのみが行うと考えられてきた機能をも担うことを示している。そこで、本年度は、筋線維芽細胞が、アポトーシス細胞のみならず、ネクロプトーシスを起こした細胞を貪食するかについて検討を行った。その結果、筋線維芽細胞がアポトーシス細胞のみならず、ネクロプトーシスを起こした細胞も貪食することが、in vitro in vivoの系において明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記述した実験計画に従って、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、筋線維芽細胞の貪食が生体に及ぼす影響を調べるに当たっては、筋線維芽細胞に特異的なpromoter/enhancerが必要となる。これまで、そのようなpromoterとしてはαSMA, TCF21などの遺伝子のpromoterが使用されてきた。しかしながら、例えばαSMAは正常な心臓において血管平滑筋にすでに強く発現しているなど、特異性、発現時期の観点から筋線維芽細胞に特異的とは言い難い。申請者は、筋線維芽細胞に分化すると発現量が顕著に上昇する受容体分子を見出した。この分子は正常な心臓には全く発現していない。従って、この分子のpromoter領域を単離すれば、既存のものに比べ、より優れた筋線維芽細胞特異的なpromoterになると考えられることから、このpromoterの同定を試みる。 一方で、心臓の筋線維芽細胞で得られた知見がその他の臓器の筋線維芽細胞についても当てはまるかについて検討する。
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Research Products
(6 results)