2015 Fiscal Year Annual Research Report
成体脳の嗅球ニューロン再生における死細胞の貪食の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
15H01384
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
澤本 和延 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90282350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 薬理学 / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内で外界からの嗅覚情報を処理する嗅球においては、成体においても継続的にニューロンの細胞死とニューロン新生が起こっている。我々は、嗅球内においてニューロンが死んだ場所に、同じ種類の新しいニューロンが優先的に組み込まれる感覚入力依存的なメカニズムを発見し、報告した(J Neurosci 2011)。しかし、感覚入力がどのようにして、同じ場所での死細胞と新生ニューロンの入れ替えを促進しているのかは未解明である。我々は、死細胞を貪食するミクログリアがこの過程に関与しているという仮説を立てた。この仮説を検証するため、二光子イメージング等を用いて、ミクログリアが死んだニューロンを除去し、新しいニューロンの生着を助ける生理的なメカニズムを明らかにすることを目的とした実験を計画した。 当該年度においては、第一に、嗅球内の死細胞とミクログリアが貪食する細胞の種類を明らかにするため、嗅球の切片を作製し、ミクログリアに特異的に発現するマーカーに対する抗体と細胞タイプ特異的なマーカーの抗体を用いて、二重染色を行なった。共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察したところ、嗅球内のミクログリアによってニューロンを含む複数の種類の細胞が貪食されていることが確認された。次に、ミクログリアが死細胞を貪食する様子を直接観察するため、ミクログリアを蛍光蛋白質で標識したトランスジェニックマウスを用いた。生きたマウスの脳内におけるミクログリアの動態を2光子顕微鏡を用いて観察したところ、ミクログリアが死細胞を貪食する様子が捉えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミクログリアが嗅球内で貪食する細胞の種類と、その過程を明らかにすることができた。2年目に向けて新たな実験の準備も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、脳内において細胞死を起こすニューロンがミクログリアによって貪食されるメカニズムを解明するための実験を実施する。 具体的には、死細胞の貪食における嗅覚入力の役割を解明するため、鼻腔閉塞プラグを用いて嗅覚入力を遮断、あるいは逆に香辛料等によって嗅覚を刺激し、嗅球内の死細胞とミクログリアが貪食する細胞の種類を解析する。また、ミクログリア及びニューロンを蛍光標識した遺伝子改変マウスを用いて、ミクログリアによるニューロン貪食過程を二光子顕微鏡により観察する。さらに、貪食作用を阻害し、ニューロンの定着への影響を解析する。
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Research Products
(30 results)
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[Book] 麻酔2015
Author(s)
藤掛数馬 , 太田晴子, 祖父江和哉, 澤本和延
Total Pages
8
Publisher
克誠堂出版
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