2015 Fiscal Year Annual Research Report
モノアミン作動性ニューロンによる嗅覚嗜好性制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
15H01418
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 和生 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80300953)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ドーパミン / ショウジョウバエ / 嗜好性行動 / 嗅覚回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエは完全変態動物であり、幼虫から蛹を経て成虫に至る過程において、食性や行動が大きく変動する。我々は、このような変態にともなう行動変化を生み出す神経基盤に興味をもち、ショウジョウバエ幼虫をモデルとして研究をおこなった。まず、種々の嗅覚物質にたいするショウジョウバエ幼虫の嗜好性を調べたところ、3齢幼虫前期(発生後90時間)から3齢幼虫後期(発生後120時間)に至る時間に、プロピオン酸など特定物質に対する嗜好性が大きく変化することが明らかになった。さらに嗜好性制御の神経基盤を明らかにするために、GAL4/UASシステムを駆使してショウジョウバエ幼虫約1000個のニューロンについて網羅的機能解析を行い、脳内に位置する1対のドーパミン作動性ニューロン(以後DAニューロンと表記する)を同定した。さらにDAニューロンの構造を詳細に調べたところ、DAはその軸索をキノコ体(ショウジョウバエの高次脳機能のセンターとされる)の特定のドメインへと投射しいることが明らかになった。ドーパミン受容体にはD1R型とD2R型があるが、嗜好性変化においてはキノコ体ニューロンに発現するD1R型受容体が重要であることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ショウジョウバエは完全変態動物であり、幼虫から蛹を経て成虫に至る過程において、食性や行動が大きく変動する。我々は、このような変態にともなう行動変化を生み出す神経基盤に興味をもち、ショウジョウバエ幼虫をモデルとして研究をおこなった。まず、種々の嗅覚物質にたいするショウジョウバエ幼虫の嗜好性を調べたところ、3齢幼虫前期(発生後90時間)から3齢幼虫後期(発生後120時間)に至る時間に、プロピオン酸など特定物質に対する嗜好性が大きく変化することが明らかになった。さらに嗜好性制御の神経基盤を明らかにするために、GAL4/UASシステムを駆使してショウジョウバエ幼虫約1000個のニューロンについて網羅的機能解析を行い、脳内に位置する1対のドーパミン作動性ニューロン(以後DAニューロンと表記する)を同定した。さらにDAニューロンの構造を詳細に調べたところ、DAはその軸索をキノコ体(ショウジョウバエの高次脳機能のセンターとされる)の特定のドメインへと投射しいることが明らかになった。ドーパミン受容体にはD1R型とD2R型があるが、嗜好性変化においてはキノコ体ニューロンに発現するD1R型受容体が重要であることが明らかになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定したDAニューロンが、どのような刺激に応答して発火するのかを、カルシウムイメージング等で解析する。これにより、DAニューロンの機能や作動原理をよりよく理解できると考えている。また、DAニューロンの活性制御機構を明らかにするために、DAニューロンを含む局所回路を同定する。これは、GAL4/UASシステムを使ってDAニューロンの近傍に位置するニューロン群の中から、実際にコネクションをもつニューロンをピックアップする。
|
Research Products
(2 results)