2015 Fiscal Year Annual Research Report
学習による大脳皮質異モダリティー応答獲得の神経機構に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
15H01442
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宋 文杰 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (90216573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 連合学習 / 光 / 音 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
二種類の光刺激と二種類の音刺激の組み合わせパタンを区別する学習課題でモルモットを訓練し、弁別できた時に、その皮質における神経基盤解明を目指す目的で研究を行った。そのためにまず、橙色光と低音の組み合わせにはリワードを与え、青色光と高音の組み合わせにはリワードを与えないように、光の種類と音の種類の連合学習をさせたところ、成立しなかった。様々な検討・改良を行い、光の種類と音の種類の連合学習ができるようになった。行った主な工夫は、1)学習トライアルの開始を動物自身にさせたこと、2)学習を段階的に進めたこと、3)いずれの組み合わせにもリワードを与え、行動の遅延時間の違いで学習の成否を判断すること、の三つである。二種類の光と二種類の音の組み合わせは四種類あるが、動物がそのすべてを同時に判別するか否かを調べたところ、一種類の組み合わせをその他の組み合わせと区別したが、四種類を同時に別々に区別しなかった。モルモットは多数の刺激が存在する場合、すべての刺激を二つのカテゴリーに分けることしかできない可能性が考えられるが、ピッチが異なる三種類の音を弁別させたところ、有意に弁別できた。従って、モルモットにとって、四種類の組み合わせを同時に区別することが困難なようであるが、一種類の光と音の組み合わせを、他の組み合わせと区別できたため、今後その神経基盤の解明に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二種類の光刺激と二種類の音刺激の組み合わせパタンを区別する学習課題は、げっ歯類にとって困難な課題で、達成できるか否か不明であったが、平成27年度の研究で目途がついたことが大きい。また、確立した学習標本は、感覚刺激の連合学習問題のみならず、時間測定の神経基盤、行動開始制御の神経基盤、および行動選択の神経基盤の標本ともなるため、波及効果が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
行動学習の過程において、聴覚皮質から神経活動を慢性的に記録し、聴覚皮質ニューロン活動と学習行動の関係を解析し、感覚連合学習の皮質基盤を解明する。特に聴覚皮質ニューロンの光応答獲得に注目して解析する。
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Research Products
(8 results)