2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチンの凝縮構造を作り出すノンコーディングRNA群の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
15H01462
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長尾 恒治 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 講師 (60426575)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非コードRNA / ゲノム / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ある種の長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA)は、クロマチン制御タンパク質と結合して、エピジェネティカルな遺伝子の発現制御を行っている。その代表例、女性の不活性化されたX染色体は、XIST lncRNAとHBiX1-SMCHD1タンパク質複合体に依存して凝縮したクロマチン構造 (バー小体)を形成する。またHBiX1-SMCHD1は、X染色体以外でもドメインを形成して結合していることから、ある「作動エレメント」を持つlncRNAの一群がHBiX1-SMCHD1の足場となり、凝縮したクロマチン構造が核内のいたる所で形成されていることが考えられる。そこで、この一群のlncRNAをHBiX1-SMCHD1複合体を基軸に同定することを目的とし、SMCHD1のゲノム上での機能領域の同定と、結合するlncRNAの同定を進めた。1) SMCHD1の機能領域の同定には、二本の相同染色体を区別することができる雑種マウス細胞を用いたSmchd1, Hbix1やヒストン修飾に対するアリル特異的ChIP-seqと、Smchd1変異細胞を使ったアリル特異的RNA-seqを行った。解析上のアーティファクトを最小限にできるようなアリル情報の整備と次世代シーケンサーのデータを処理する解析系を構築することで、X染色体のように一方のアリルだけを制御しているような領域も含めてSMCHD1の機能領域を調べることができるようになった。2) そこから同定されたSMCHD1の機能領域の一つについて、BACプローブを用意しRNA-FISH法によって転写産物を同定するための条件検討を行った。3) SMCHD1に結合するlncRNAを同定するパイロット実験として、Flagタグを付加したSMCHD1やHBiX1を用いてRIP-seqを行い、これらタンパク質でRIP-seq法が可能であるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ解析上のアーティファクトとなる点をいくつも解決していくという点で苦労しながらも、当初予定していたマウス細胞を使ったアリル特異的解析系を作ることができ、SMCHD1の機能領域をヒト、マウス間で比較解析しながら同定していくための基盤ができた。また直接結合するlncRNAを同定するRIP法についても進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた次世代シーケンサーを用いたChIP-seq、RNA-seq、RIP-seqから得られたデータは得られてきた。引き続きデータを蓄積しながら、これらを比較解析できるように組み合わせて、SMCHD1-HBiX1の局在する領域、変異時に遺伝子発現の変動する領域という指標でSMCHD1が機能する領域を同定していく。この領域近傍から発現するlncRNAをRNA-seqのデータを元に同定する。さらに同定した領域について、DNA-FISH、RNA-FISH法を用いてSMCHD1依存的に凝縮したクロマチン構造をとる領域であるか、lncRNAが局在しているかどうかを調べる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Histone H4 lysine 20 acetylation is associated with gene repression in human cells.2016
Author(s)
Kaimori, J. Y., Maehara, K., Hayashi-Takanaka, Y., Harada, A., Fukuda, M., Yamamoto, S., Ichimaru, N., Umehara, T., Yokoyama, S., Matsuda, R., Ikura, T., Nagao, K., Obuse, C., Nozaki, N., Takahara, S., Takao, T., Ohkawa, Y., Kimura, H., and Isaka, Y.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 6
Pages: 24318
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Clinical, muscle pathological, and genetic features of Japanese facioscapulohumeral muscular dystrophy 2 (FSHD2) patients with SMCHD1 mutations.2016
Author(s)
Hamanaka, K., Goto, K., Arai, M., Nagao, K., Obuse, C., Noguchi, S., Hayashi, Y. K., Mitsuhashi, S., and Nishino, I.
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Journal Title
Neuromuscul Disord.
Volume: 26
Pages: 300-308
DOI
Peer Reviewed
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