2015 Fiscal Year Annual Research Report
代謝酵素遺伝子ノンコーディングmRNAの食餌による発現制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
15H01467
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 線虫 / 食餌 / ノンコーディングmRNA / 選択的スプライシング / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、線虫のメチオニン代謝回路の酵素をコードする遺伝子の発現が食餌に応答してノンコーディングmRNAを積極的に産生するmRNA前駆体の転写後プロセシングにより遺伝子発現が制御される現象の分子機構として作動エレメントと作動装置の実体を解明することを目指している。 食餌によってノンコーディングmRNAの発現が制御される遺伝子を新たにゲノムワイドに同定するために2種類の細菌を餌として飼育した線虫のRNAの大規模シーケンス解析を行い、解析中である。また、ノンコーディングmRNAの発現パターンを線虫生体内で可視化するための、1つの遺伝子についてすでにトランスジェニック蛍光レポーターを作製し、ゲノムへの組み込みを行っている。 食餌によってノンコーディングmRNAを産生するような選択的スプライシング制御の変化を解析するための実験プロトコルの検討を行い、孵化後3時間の食餌で選択的スプライシングが変化すること、3~6時間の絶食で食餌前のスプライシングパターンに戻る遺伝子があることを見出した。 食餌により変化する選択的スプライシングを受ける遺伝子が自身や互いの遺伝子の選択的スプライシングに与える影響を解析し、負の自己制御を受ける遺伝子があること、母親世代の酵素のはたらきが孵化時の他の遺伝子の選択的スプライシングに影響を与える可能性を見出した。 解析している酵素の一つは4つの相同遺伝子によりコードされうち3遺伝子がノンコーディングmRNAを産生すること、これらのスプライシングや発現量が発生段階によっても変化することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特任助教または技術補佐員を採用して研究を推進する計画であったが、学内採用手続きの変更により従来よりも採用までに長い期間を要し、特任助教の採用が11月半ばにずれ込んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
代謝酵素遺伝子の選択的スプライシングが摂食により制御される分子機構を探るため、ノックダウンや変異体スクリーニングによる遺伝学的な探索を行う。また、レポーターミニ遺伝子を利用して作動エレメントの探索を行う。 摂食によるスプライシング変化がインスリン様シグナルやTORシグナルなど一般的なシグナル伝達に依存するか食餌中の特定の成分によるか解析するため、食餌の種類や成分の抽出など生化学的な解析と、シグナル伝達分子変異体での解析を行う。 代謝酵素自身による自己制御の機構を探るため、ノックダウンや過剰発現が選択的スプライシングに与える影響を解析する。 その他は、当初計画に従って進める。
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Research Products
(6 results)