2015 Fiscal Year Annual Research Report
免疫老化と幹細胞制御機構変容との連関解明
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
15H01520
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 熊本大学, 大学院生命科学研究部 (医), 教授 (90312321)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老化 / 幹細胞 / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では、造血幹細胞ニッチにおいてANGPTL2およびANGPTL2受容体を発現する責任細胞の同定を行うため、野生型マウスの骨髄よりセルソーターを用いて分取した各種細胞を用いてリアルタイムPCR解析を行った。その結果、ANGPTL2はlineage marker陽性細胞に比べ造血幹細胞において豊富に発現していることが明らかとなった。さらに、造血幹細胞におけるANGPTL2発現レベルは、造血幹細胞の加齢マーカー遺伝子同様に加齢に伴い上昇することが明らかとなった。一方、ANGPTL2の受容体として造血幹細胞に発現していることが報告されていたPirBの発現は、lineage marker陽性細胞で豊富に発現していることが確認された。ANGPTL2シグナルを介した造血幹細胞の維持・分化制御機構を解析する目的で、Angptl2 KOマウスおよび造血幹細胞や血管内皮細胞においてANGPTL2を高発現するAngptl2 Tgマウス(Tie2-Angptl2 Tg)由来造血幹細胞をフローサイトメトリーにて解析した。その結果、Angptl2 KOマウスでは造血幹細胞数が野生型マウスに比べて有意に多いこと、逆にTie2-Angptl2 Tg マウスでは造血幹細胞数が少ない傾向が認められた。そこで、Angptl2 KOマウスおよびTie2-Angptl2 Tgマウス由来の造血幹細胞を用いてコロニーアッセイを行った。その結果、コロニーアッセイではいずれのマウスにおいても野生型マウス由来造血幹細胞と比べて、コロニーの形成数、コロニーサイズ、コロニー構成細胞種に差を認めなかった。以上より、造血幹細胞と幹細胞ニッチを構成する細胞間のANGPTL2シグナルが造血幹細胞数の制御に関わっている可能性が示唆された。また、骨髄内に存在するCD4+メモリーT細胞のなかでもPD-1陽性のCD4+メモリーT細胞がANGPTL2を高発現することを見出しており、ANGPTL2シグナルを介したCD4+メモリーT細胞による造血幹細胞制御機構が存在する可能性も考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、造血幹細胞ニッチにおいてANGPTL2が造血幹細胞やPD-1+ CD4+メモリーT細胞において高発現していること、一方、ANGPTL2受容体の1つであるPirBはlineage marker陽性細胞に豊富に発現していることを明らかにした。さらに、ANGPTL2シグナルを介した造血幹細胞の維持・分化制御機構造血幹細胞におけるANGPTL2発現は他の造血幹細胞老化マーカー遺伝子同様に加齢に伴い上昇することや、Angptl2 KOマウスやTgマウスを用いた解析から、ANGPTL2シグナルを介した造血幹細胞の維持・分化制御機構として、ANGPTL2シグナル亢進が造血幹細胞数を負に制御している可能性が示唆された。また、平成27年度では、免疫老化関連疾患の発症・進展におけるANGPTL2シグナルの意義解明研究において平成28年度以降使用するSpa-1とAngptl2の二重欠損マウスの作製を終了している。以上のことから、本研究は当初の計画通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、Angptl2 KOマウスやTgマウス、PirB KOマウス由来造血幹細胞を用いて競合的骨髄再構築実験を行い、各マウス系統由来造血幹細胞の長期的骨髄再構築能を評価することで、ANGPTL2シグナルを介した造血幹細胞の維持・分化制御機構の解析を進める。また、若齢および高齢のAngptl2 KOマウスやTgマウス由来造血幹細胞における造血幹細胞老化マーカー遺伝子の発現、造血幹細胞による骨髄再建能を解析し、ANGPTL2シグナルと造血幹細胞老化との関連を検討する。さらに、Spa-1とAngptl2の二重欠損マウスにおける白血病の発症率や病態の重症度を解析することで、白血病の病態発症・進展におけるANGPTL2シグナルの意義を明らかにする。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] ANGPTL2 increases renal fibrosis by accelerating TGF-β signaling in chronic kidney disease.2016
Author(s)
Morinaga J, Kadomatsu T, Miyata K, Endo M, Terada K, Tian Z, Sugizaki T, Tanigawa H, Zhao J, Zhu S, Sato M, Araki K, Iyama K, Tomita K, Mukoyama M, Tomita K, Kitamura K & Oike Y.
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Journal Title
Kidney Int
Volume: 89
Pages: 327-341
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Persistent Activation of cGMP-dependent Protein Kinase by a Nitrated Cyclic Nucleotide Via Site-specific Protein S-Guanylation.2016
Author(s)
Akashi S, Ahmed KA, Sawa T, Ono K, Tsutsuki H, Burgoyne JR, Ida T, Horio E, Prysyazhna O, Oike Y, Rahaman MM, Eaton P, Fujii S, Akaike T.
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Journal Title
Biochemistry
Volume: 55
Pages: 751-761
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The exacerbating roles of CCAAT/enhancer-binding protein homologous protein (CHOP) in the development of bleomycin-induced pulmonary fibrosis and the preventive effects of tauroursodeoxycholic acid (TUDCA) against pulmonary fibrosis in mice.2015
Author(s)
Tanaka Y, Ishitsuka Y, Hayasaka M, Yamada Y, Miyata K, Endo M, Kondo Y, Moriuchi H, Irikura M, Tanaka KI, Mizushima T, Oike Y & Irie T.
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Journal Title
Pharmacol Res
Volume: 99
Pages: 52-62
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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