2015 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌叢がもたらす宿主細胞老化機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
15H01522
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 真嗣 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 准教授 (80435677)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老化 / 腸内細菌 / 代謝物質 / 統合オミクス / メタボロゲノミクス / 腸管上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの腸管内には数百種類以上でおよそ100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しており、これらの集団(腸内細菌叢)は宿主腸管細胞と密接に相互作用することで、腸管内における複雑な生態系、すなわち「腸内エコシステム」を形成している。腸内エコシステムのバランスの乱れが様々な疾患につながることが次々と報告される中、われわれはこれまでに、メタボロミクスを基盤とする統合オミクス解析手法を考案し、腸内細菌叢から産生される短鎖脂肪酸を初めとする代謝物質が、宿主腸管局所のみならず、全身の恒常性維持に重要であることを明らかにした。また、宿主の加齢に伴った腸内環境変化について同様に解析をしたところ、宿主老化には腸内細菌叢から産生される代謝物質が関与している可能性が示唆された。そこで本研究では、これまで異種生物と考えられてきた腸内細菌叢を一つの臓器と捉え、そこから産生される老化促進因子について、無菌マウスや腸管オルガノイド培養技術を駆使して解析し、その機能を包括的に理解することで、腸内細菌叢由来代謝物質による宿主老化機構を明らかにすることを目的とした。本年度は、若齢および老齢の無菌マウスおよびSPFマウスを解剖し、小腸部位および大腸部位における腸管上皮細胞、腸管上皮幹細胞、腸管上皮リンパ球、腸管内容物、さらには血漿や各種臓器サンプルを採取した。得られたサンプルは順次、トランスクリプトーム解析およびメタボローム解析に供試した。また、採取した腸管上皮サンプルから腸管オルガノイドの樹立も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画書のスケジュール通りに、若齢および老齢の無菌マウスおよびSPFマウスの解剖を実施し、腸管細胞の採取や腸管オルガノイドの樹立を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の方針は、得られた腸管細胞サンプルや血漿、各種臓器サンプルについて、統合オミクスアプローチにより遺伝子レベル・代謝物質レベルでのプロファイルを取得し、老化現象と腸内細菌叢由来代謝物質との関係について解析を行う。
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Research Products
(9 results)