2015 Fiscal Year Annual Research Report
神経発生を司るmTORシグナル伝達経路依存的新生鎖合成制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
15H01528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 与志穂 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (30740097)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2017-03-31
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Keywords | 新生鎖 / タンパク質合成 / mTOR / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORシグナル伝達経路はタンパク質合成を中心とした細胞内代謝を調節し、神経の形態形成、シナプス形成、細胞移動などの重要な発生段階を制御し、ヒトの正常な脳の発生に重要な役割を果たす。また、mTORの負の制御因子複合体TSC1/2の機能を阻害する突然変異は脳の発達障害を伴う結節性硬化症を引き起こす。そこで、本課題ではmTORシグナル伝達経路がどのような新生鎖タンパク質の合成を制御するかを解析することによって、mTORシグナル伝達経路が神経発生を制御する機構を理解し、疾患の治療へ寄与することを目指して研究を行っている。 本課題におけるこれまでの研究において、mTORシグナル伝達経路の活性に依存して合成が制御される新生鎖タンパク質をリボソームプロファイリング法を用いて探索し、神経細胞において特異的な制御を受けている候補タンパク質を探した。候補タンパク質のmRNA配列を精査することにより、幹細胞から神経への分化に伴ってmTORによる制御を強く受けるようになるような特徴をもった候補タンパク質を見出すことができた。候補タンパク質の複数のアイソフォームに注目して解析を行ったところ、興味深いことにアイソフォームごとにmTORシグナル伝達経路への応答性が異なっており、神経特異的なタンパク質合成制御を受けるアイソフォームを見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経特異的にmTORシグナル伝達経路によって合成が制御されているタンパク質を探索し、候補を見いだすことができたことから、おおむね順調に進展していると言える。特にアイソフォームごとに異なるmTORシグナル伝達経路への応答が起き、神経特異的な応答へ寄与することを見出すことができたので、研究は有意に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は、この調節の分子機構を明らかにし、また、神経発生における意義を明らかにする。特に、mTORシグナル伝達経路によって調節をうけていることが知られている形態形成、シナプス形成、大脳での細胞移動に着目して、これまでの解析によって見出された新生鎖タンパク質合成の調節機構の機能解析を行う。また、リボソームプロファイリングの解析を続け、新生鎖合成過程における神経発生制御機構の解明を目指す。
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Research Products
(2 results)