2015 Fiscal Year Annual Research Report
ピコルナウイルスの2Aペプチドの終止コドン非依存的翻訳終結の構造基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
15H01548
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊藤 拓宏 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, ユニットリーダー (70401164)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウイルス / 生体分子 / 電子顕微鏡 / 翻訳 / 2Aペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームが一時停止する新生鎖配列を挿入するといったような、何らかの手法によって翻訳を一時停止させることができれば、N末端側へ付加されたFLAGタグ配列とFLAG抗体樹脂を用いることによって、その停止したリボソームを選び出して精製することが可能であることを見出した。また、その精製したリボソームを用いて低温電子顕微鏡による単粒子解析を行うことが可能であることを見出した。 注目するピコルナウイルスの2Aペプチド1位のグリシンまで合成した状態で、-1位のプロリンにペプチド転移反応を起こさずにリボソームを一時停止させる手法として、tRNA(Gly)の3'末端がデオキシになっており、なおかつグリシンが付加したGly-tRNA(Gly)-3pdeoxyを精製することが可能となった。しかしながら、この物質を試験管内翻訳系に加えるのみではリボソームを一時停止させることはできなかった。 翻訳に関連する因子である翻訳開始因子eIF2Bの結晶構造と生化学的な解析を発表論文として報告した。eIF2Bは別の翻訳開始因子eIF2のGEFである。決定したeIF2Bの立体構造はヘテロ10量体という特徴ある立体構造をとっていた。生化学的な実験結果とモデリングの結果よりeIF2BとeIF2との相互作用には「活性型」と「不活性型」の複数の様式があることが予測され、それをモデルとして示した。併せて、分裂酵母由来の翻訳開始因子eIF2Bの発現方法および精製方法、活性測定、結晶化条件を詳細に記した発表論文も報告した。 また、翻訳を正確に行うために機能しているtRNA修飾酵素TrmDと基質tRNA、メチル基供与体アナログの複合体の結晶構造についても発表論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リボソームをストールさせる手法を開発できれば、目的試料を調製して、低温電子顕微鏡による単粒子解析により立体構造を導出することが可能であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の研究体制・研究内容を進めながら、大量に試験管内翻訳を行うための準備を進める。
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Research Products
(6 results)