2015 Fiscal Year Annual Research Report
ASD者のwell-beingに資する自伝的物語への介入とDMNの脳機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Constructive Developmental Science; Revealing the Principles of Development from Fetal Period and Systematic Understanding of Developmental Disorders |
Project/Area Number |
15H01582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上出 寛子 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (90585960)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Meditation / Default Mode Network / ASD |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,自閉症当事者のwell-beingを向上させるための介入手法の提案と,提案された手法の効果を検証することを目的とした.従来,主観的なwell-beingや自伝的物語との関連が指摘されている脳内のデフォルト・モード・ネットワークに関して,このネットワークの賦活がMeditationの経験によって影響されていることが報告されている.したがって,本研究では,Meditation(坐禅)を専門家(臨済宗妙心寺派の僧侶)から指導していただき,坐禅の効果を検証した.特に,臨済宗の坐禅を行うことで,欧米の研究で報告されているような注意力の向上などがみられるかどうかを中心に検証を行った. 定型発達者のみを対象として,坐禅を10日間連続で行い,視覚的注意課題に対する影響を調べた.臨済宗妙心寺派の寺の僧侶により坐禅の指導は行われた.実験群として4名の男性,コントロール群として3名の男性が参加した.コントロール群は先行研究にしたがい,オーディオブックのリスニングを行った.実験群,コントロール群ともに,25分のセッションを2回行い,途中に10分間の休憩をはさんだ.視覚的注意課題は,パソコンの画面の中心に表示される矢印の向きを,できるだけ早く正確に回答する課題であった.視覚的注意課題は実験開始の5日前,実験開始5日目,実験直後の3回実施した. その結果,統制群では視覚的注意課題の遂行に時間的な変化は観察されなかったが,実験群においては,特に5日目で,矢印の向きを実験前より早く回答できるようになっていた.毎日連続で坐禅を行うことにより,視覚的な注意力が,およそ5日程度で変化する可能性を示唆したといえる.今後,自閉症当事者と提携発達者と対象に,坐禅の効果を検証する.特に,MRIを用いてデフォルトモードネットワークの変化を検証し,さらに,well-beingや自伝的物語との関連から検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,ASD者に対する介入手法の検討を行うことを目的としていたが,臨済宗妙心寺派による坐禅を介入手法として用い,効果測定を行うことが予定通り完了したため.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は予定通り,坐禅の効果を検証することができた.したがって,今後は,ASD者と定型発達者を対象に坐禅を実験的に行い,前後でのデフォルトモードネットワークの変化や,well-being,自伝的物語の解釈の仕方の変化などを検証する.これにより,ASD者に対する坐禅の治療的意義を調べる.
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Research Products
(3 results)