2015 Fiscal Year Annual Research Report
インタラクションにおける感情誘導過程のモデル化
Publicly Offered Research
Project Area | Cognitive Interaction Design: A Model-Based Understanding of Communication and its Application to Artifact Design |
Project/Area Number |
15H01622
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
大森 隆司 玉川大学, 工学部, 教授 (50143384)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 対人インタラクション / 感情状態 / 誘導過程 / 感情=価値システム仮説 / 幼稚園 |
Outline of Annual Research Achievements |
子ども(3歳児~5歳児)を対象に,インタラクション場面でその感情状態を良好な状態に誘導するアルゴリズムの開発のため,1.感情過程のサーベイと概念モデル化,2.子どもの行動計測のためのセンサシステムの構築,3.幼稚園での子どもの予備的行動調査,を行った. 1. 感情過程のサーベイと概念モデル化では,脳神経系における情動過程をサーベイし,価値の起源としてカルテットセオリーを検討した.さらに環境の状況に対する価値の評価のモデルを検討し,大脳基底核の強化学習モデルと前頭葉の推論モデルの組み合わせが適切であると考え,全体として感情=価値システムモデルを提唱するに至った. 2. 子どもの行動計測のため,KinectV2を複数台接続する3次元の行動計測をおこなうセンサシステムを構築した.研究のツールとして,計測後に必要になる可能性の高い高解像度画像はフルに保存すると同時に,オンラインで子ども達や保育者の行動を計測することが可能となった. 3. 幼稚園での子どもの予備的行動調査を行った.具体的には,自由行動場面,ロボットPepperと保育士による紙芝居場面,Pepperと子どもの一対一の対話場面などを計測し,その過程での子どもの心的状態が外部からの働きかけによりどのように変化するか,観察した.そしてこの場面を書き起こし,その中から子どもの心的状態の変化,それを引き起こした要因などを分析する準備とした.これにより,今後の行動調査のタスクのデザイン,その行動アノテーションのためのオントロジー構築の準備となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に提案したとおり,1.サーベイによる概念モデル構築,2.行動調査のためのセンサシステムが構築できた.また,3.子どもの予備的行動調査を通じて行動アノテーションのためのオントロジー構築の準備ができた. 1. サーベイによるモデル構築は,感情=価値システム仮説の提案につながり,価値計算システムの計算モデル構築におけるモデルの空白部分である前頭葉の推論システムの計算モデル化が,当初の計画通り行う準備として実現できた. 2. 当初の計画にはなかった,自身による行動調査の準備として3次元行動計測システムの構築がなされ,子ども達の行動の定量的な観察が継続的にできるようになった. 3. 本研究として当初は行動調査を計画していなかったが,幼稚園にて子どもの予備的行動調査を行い,保育の意図に応じた行動アノテーションと評価を行う準備ができた.元の計画では調査の企画までとなっていたが,それが自身で遂行できる状態になったことは,元の計画以上の進展といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
感情システムのモデル化と幼稚園での予備的行動調査とその分析を受けて,以下の研究を行っていく. 1. 感情=価値システム仮説の計算モデル化として,計算モデルが不十分な前頭葉の推論システムについて,Particle Filter モデルに基づき,計算モデル構築とトイモデルによるシミュレーションを行い,意図した特性が出ることを確認する. 2. 感情モデルにおける価値の要因と,子どもの行動調査による心的状態のダイナミクスの要因とのマッピングを行う.そしてその要因を観測可能なタスクをデザインし,幼稚園での行動観察のためのシステム開発を行う. 3. 幼稚園での子どもの成長に合わせて縦断的な行動調査を行い,その過程で上記のモデルに必要な情報の抽出と計算モデル化のため蓄積を行う. 4. 不十分ではあるが蓄積された子どもの心的状態のダイナミクスのデータを用い,予備的な行動誘導のための働きかけを探索する計算モデル構築と,行動調査においてその評価を行う.申請者自身が行動調査および働きかけの場に参加することで,モデルの評価改良のサイクルが短縮されることが期待される.
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Research Products
(9 results)
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[Book] 第9章 脳科学と人工知能~脳の仕組みから見る人工知能と今後の可能性, in 人工知能関連技術 活用資料集2016
Author(s)
池田拓史,市瀬龍太郎,長橋賢吾,山下隆義,石井一夫,堀田一弘,藤田雄介,高村大也,大森隆司,高村淳,中田豊久,山下隆義,神田泰行,東博暢,広口正之,神田武,野辺継男,尾形哲也,堂前幸康,奥野恭史,他7名
Total Pages
未定
Publisher
情報機構
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