2015 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の構造変化を自在に操作する技術の創出‐トランスポーターへの応用‐
Publicly Offered Research
Project Area | Novel measurement techniques for visualizing 'live' protein molecules at work |
Project/Area Number |
15H01625
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鎌形 清人 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90432492)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一分子計測 / 蛋白質 / 操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛋白質の折り畳みや機能を調べる方法の一つとして、蛋白質の構造が動く様子を単分子レベルで可視化する方法が提案されてきた。しかし、従来の単分子蛍光装置には、観測時間や色素間距離などに制限があるため、生物学上の重要な蛋白質への応用は限定されている。本研究は、ターゲットとなる蛋白質に従来法で用いる蛍光色素の代わりに金ナノ粒子を使用し、金ナノ粒子-蛋白質複合体を作成し、計測をすることを目的とした。 まず、白色光源による全反射照明の光学系と高感度カメラを組み合わせ、全反射暗視野顕微鏡の開発を行った。対物レンズの下に配置した穴あきミラーによって、入射光を反射し、対物レンズに導入した。金ナノ粒子からの散乱光を穴あきミラーを通してカメラで検出した。全反射暗視野顕微鏡の性能を評価するため、ガラス基板に様々な大きさの金ナノ粒子を固定し、その散乱光を検出した。 次に、金ナノ粒子-生体分子複合体の作成する方法を検討した。生体分子としてDNAを選び、2種類の金ナノ粒子-DNA複合体を作成した。DNAの部分を結合させ、電気泳動で精製し、2つの金ナノ粒子と1つのDNAの複合体を作成した。この際、金ナノ粒子の凝集が問題となったため、表面のコーティング剤を検討した。電子顕微鏡を用いて、金ナノ粒子-DNA複合体の検証を行ったが、2種類の金ナノ粒子-DNA複合体の作成頻度は低いことが分かった。今後、2種類の金ナノ粒子-DNA複合体の作成頻度を上げる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、ターゲットとなる蛋白質に従来法で用いる蛍光色素の代わりに金ナノ粒子を使用し、金ナノ粒子-蛋白質複合体を作成し、計測をすることを目指した。本年度は、全反射暗視野顕微鏡の開発に着手し、金ナノ粒子-蛋白質複合体の作成に取り組んだ。 まず、金ナノ粒子-蛋白質複合体からのプラズモン散乱を検出するための装置開発に成功した。具体的には、白色光源による全反射照明の光学系と高感度カメラを組み合わせ、全反射暗視野顕微鏡の開発を行った。対物レンズの下に配置した穴あきミラーによって、入射光を反射し、対物レンズのに導入した。金ナノ粒子からの散乱光を穴あきミラーを通してカメラで検出した。全反射暗視野顕微鏡の性能を評価するため、ガラス基板に様々な大きさの金ナノ粒子を固定し、その散乱光を検出した。 次に、金ナノ粒子-生体分子複合体の作成する方法の確立を目指した。生体分子としてDNAを選び、2種類の金ナノ粒子-DNA複合体を作成した。DNAの部分を結合させ、電気泳動で精製し、2つの金ナノ粒子と1つのDNAの複合体を作成した。この際、金ナノ粒子の凝集が問題となったため、表面のコーティング剤を検討した。電子顕微鏡を用いて、金ナノ粒子-DNA複合体の検証を行ったが、2種類の金ナノ粒子-DNA複合体の作成頻度は低いことが分かった。今後、金ナノ粒子-生体分子複合体の作成は、生体分子ごとに作成方法を検討する必要があり、サンプル作りにより多くの研究時間をかける必要があることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度に引き続き、金ナノ粒子-生体分子複合体の作成方法を検討する。まず、2種類の金ナノ粒子-DNA複合体の作成法を確立する。金ナノ粒子の凝集が問題となっていたため、様々な金ナノ粒子表面のコーティング剤を検討する。電気泳動や電子顕微鏡を用いて、金ナノ粒子-DNA複合体の検証を行い、複合体の作成頻度を向上させる。次に、モデル蛋白質として、ポリプロリンを選び、金ナノ粒子-ポリプロリン複合体を作成する。金ナノ粒子とポリプロリンの結合には、ビオチン-ニュートラアビジンやNi-NTAとヒスチジンタグの反応を利用する。ニュートラアビジン、または、Ni-NTAで修飾した金ナノ粒子を作成する。ポリプロリンとニュートラアビジン及びNi-NTA修飾金ナノ粒子を混合し、金ナノ粒子-ポリプロリン複合体を作成する。 次に、開発した全反射暗視野顕微鏡を用いて、金ナノ粒子-DNA複合体や金ナノ粒子‐ポリプロリン複合体からのプラズモン散乱を観測する。長さの異なるDNAやポリプロリンを用いて、緑色と赤色のプラズモン散乱の比が変化することを確かめる。さらに、剛直なDNAをコントロールとして、ポリプロリンのプロリンの異性化に伴う構造変化をリアルタイムで観測する。 最後に、生体分子を外部から操作するため、金ナノ粒子間に力を発生させる光学系を作成する。外部の力に応答する生体分子の構造変化を観測し、動きと機能の関係を明らかにする。
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Research Products
(20 results)