2015 Fiscal Year Annual Research Report
微小管内にある不均一構造の動的変化の観察と機能の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Novel measurement techniques for visualizing 'live' protein molecules at work |
Project/Area Number |
15H01650
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
香月 美穂 福岡大学, 理学部, 助教 (10373292)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微小管 / 動的不安定 / 重合ダイナミクス / 高速原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞骨格のひとつである微小管は、チューブリンタンパク質が格子状に積み重なってできた管状の構造である。格子には局所的に歪んだ部分があるが、それは電子顕微鏡などの静的観察によってわかったことであり、その形成過程や局所的性質及び生理的役割についてはわかっていない。本研究の目的は、格子構造の歪みの動的変化を蛍光顕微鏡と高速原子間力顕微鏡にて活写し、微小管内に局在する不均一な格子構造の性質を直接測ることである。 本年度は、微小管の格子が管状構造を保ったまま「動く」のか、キネシン分子モーターを用いた微小管滑り運動解析を利用して調べた。微小管の伸長端に結合することで知られているMal3タンパク質を加えると、微小管の曲率が増大し、円を描きながら運動する様子が見られた。このことは、微小管が数nmの格子の歪みを許容できることを強く示唆する。 並行して、格子構造の動的変化を追うための高速原子間力顕微鏡による微小管観察系の開発を行った。チューブリンタンパク質の分解能には至っていないが、プロトフィラメントの動きは追うことができ、その結果、微小管からプロトフィラメントがほどけた状態で数秒間存在できることがわかった。このことは、長軸方向の相互作用がプロトフィラメント間の相互作用より強いことを示唆する。微小管の格子構造内の相互作用が、如何に動的不安定性へ寄与しているか、分子メカニズムの理解への新たな手がかりとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の遂行に必要なタンパク質の精製の為の実験系を新たに確立した。また、新規に導入された光学顕微鏡を用いて微小管の格子構造変化とみられる現象を観察し、曲率が変化することを見出した。Mal3タンパク質の局在と曲率の変化については計画より遅れているが、それは以下に説明するように高速原子間力顕微鏡観察との優先順序を変更した結果である。 本研究にあたっては、金沢大学設置の高速原子間力顕微鏡の利用を予定していたが、当初の計画を変更し、福岡大学理学部山本大輔研究室の協力を得て、微小管の観察系の確立を目指している。予定した高解像度のイメージングには至っていないが、新しく福岡に高速原子間力顕微鏡観察の拠点ができることにより、来年度から計画している様々な条件でのイメージングが可能となるという点で著しく有用であり、研究が加速度的に進むことが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き、高速原子間力顕微鏡の分解能を高め、微小管格子の活写を目指す。 また、現在までにプロトフィラメントは分解能良く観察出来ており、その動態から微小管が「どのように」そして、「どこから」脱重合するのか、解析する。具体的には、様々なヌクレオチド結合状態での微小管のかたちと動態を比較観察し、分子メカニズムのモデルを提唱する。 また、全反射蛍光顕微鏡を用いてMal3タンパク質の微小管上での局在と歪み/曲率の位置の関係を解析する。
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