2016 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子の物性とデバイス特性のギャップを埋める時空間オペランドX線分光の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Architectonics: Orchestration of Single Molecules for Novel Function |
Project/Area Number |
16H00953
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吹留 博一 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10342841)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オペランド / 時空間 / GaN-HEMT / 時空間観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】デバイスの高性能化は、皮相的に、活性層以外の寄生領域の寄与を顕著にする。例えば、申請者らが作製したGFETの活性層(チャネル)の真性キャリア移動度は100,000 cm2/Vsにも達するが、寄生抵抗を含む外因性キャリア移動度は4,000 cm2/Vsに留まる。これは、活性層を取り囲む界面(例:コンタクト金属との界面)によりグラフェンの電子状態が変化することに起因する。ゆえに、本研究では、実条件に近い非DC電圧印加下のデバイス電子状態を高時空間分解能で調べる時空間オペランドX線分光を開拓する。 【意義】本研究は、単一分子デバイスの活性層と寄生領域の寄与の切り分けを可能にする。この切り分けから、従来は不可能だった、単一分子の物性とデバイス特性の直接的な関連付けが可能となる。 【本年度の課題:時空間オペランドX線分光法の確立】パルス化された高輝度放射光(時間幅:40ps)を用いて、非DC電圧が印加されたデバイスの界面電子状態を40ps・100nmの高分解能で元素選択的にイメージングする。モデル試料として、GaN/AkGaN界面の二次元電子系をチャネルとした高電子キャリア移動度トランジスタ(GaN-HEMT)を用いる。 【本年度の研究成果】高輝度放射光:SPring-8のパルス化された放射光を用いて、モデル試料:GaN-HEMTのオペランド時空間観察を試みた。その結果、ゲート電極近傍において、ゲート電圧印加後の1マイクロ秒以内にGaN-HEMT表面の寄生領域(具体的には、ゲートードレイン間に存在するアクセス領域)の表面化学結合状態が変化しているということの観察に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【本年度の課題:時空間オペランドX線分光法の確立】パルス化された高輝度放射光(時間幅:40ps)を用いて、非DC電圧が印加されたデバイスの界面電子状態を40ps・100nmの高分解能で元素選択的にイメージングする。モデル試料として、GaNの高速トランジスタ(GaN-HEMT)を用いる。 【本年度の研究成果】SPring-8のパルス化された放射光を用いて、モデル試料:GaN-HEMTのオペランド時空間観察を試みた。その結果、ゲート電極近傍において、ゲート電圧印加後の1マイクロ秒以内にGaN表面の化学結合状態が変化しているということの観察に成功した。 【評価】上記の観察結果は、我々が世界に先駆けて、電子デバイスの化学結合状態・電子状態の観察に成功したことを意味する。すなわち、本年度の課題の解決に成功したことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
【29年度の課題:高速動作しているグラフェンデバイスの界面電子状態変化の観察】前年度の課題の解決により実現される時空間オペランドX線分光を用いて、高速動作している単一分子:グラフェンを用いたトランジスタ(GFET)の界面電子状態変化(意図しないキャリア・ドーピングを観察する。これにより、GFETの高周波特性の実測値が理論値を下回っている原因を定量的に究明し、以て、動作周波数:1 THzを突破する為の指針を得る。
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Research Products
(8 results)