2017 Fiscal Year Annual Research Report
Modulations of electronic states in plasmonic strong coupling systems and their application to photochemical reaction fields
Publicly Offered Research
Project Area | Application of Cooperative-Excitation into Innovative Molecular Systems with High-Order Photo-functions |
Project/Area Number |
17H05245
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 貢生 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (00431346)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 振動モード強結合 / 電子状態変調 / 光増強場 / 励起状態ダイナミクス / プラズモン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子振動モードとプラズモンモードの強結合により振動状態や電子状態を変調し、高効率にフォトクロミック反応を誘起する光反応場への応用を実現するために、平成29年度は、1) 分子振動-プラズモン強結合に基づく励起状態ダイナミクスの解明、および2) 電子状態を変調する金属ナノ構造体設計の最適化を試みた。赤外波長域に局在表面プラズモン共鳴を示す金ナノチェイン構造を作製し、100 nmの厚みでポリ酢酸ビニルを成膜すると、酢酸ビニルのC=O伸縮振動モードと1740cm-1に共鳴を有するプラズモンが強結合を示し、スペクトルが分裂すること、そしてプラズモン共鳴波数に対して分裂した2つのピークエネルギーをプロットした分散カーブは強結合に特有の反交差な振る舞いを示すことが明らかになった。ラマン散乱分光により振動状態の変調を確認したところ、光学モード内における分子数が少ないためにラマン散乱は観測されなかったが、微小共振器を疑似プラズモンとして用いて、ラマン散乱分光を行ったところ、下枝ポラリトンのみが選択的に観測されることが明らかになった。これは、振動状態が変調されていることを示している。そこで、蛍光色素であるフルオレセインを導入して蛍光寿命を測定したところ、C=O伸縮振動モードが光学のモードと強結合した場合は、強結合してないときに比べて励起状態の寿命が変化することが明らかになった。また、微小共振器とプラズモンを相互作用させることにより、強く光を閉じ込める構造体設計を明らかにし、プラズモンの位相緩和ダイナミクスが変調されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、振動モード強結合により電子状態ダイナミクスが変調されること、そしてその変調を高効率に誘起することが可能な光増強場を構築することに成功し、当初の予定通り、研究が順調に進んでいる。さらに、プラズモンと微小共振器を強結合させることにより、プラズモン状態を変調し、高い光閉じ込めを示す全く新しい原理に基づく光増強場を構築することに成功した点は、価値が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、高い光閉じ込めを示す金ナノ構造-微小共振器強結合系に分子を配置し、分子の電子状態を高効率に変調することが可能であることを、各種分光計測や時間分解分光計測により明らかにするとともに、メロシアニンのフォトクロミック反応の反応速度を強結合と非結合条件下で比較し、強結合による電子状態の変調が光化学反応に与える影響を明らかにする。
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