2017 Fiscal Year Annual Research Report
包括的なバランス機能障害評価および介入効果のモニタリングシステムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Understanding brain plasticity on body representations to promote their adaptive functions |
Project/Area Number |
17H05913
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
向野 雅彦 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30424170)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、三次元動作計測およびフォースプレートを用いた計測により、バランス機能とバランス障害のより詳細なモデル化および歩行におけるバランス指標の作成に取り組んだ。まず、COP-COG関係のシミュレーションモデルの作成をを実施した。動作解析装置による体幹マーカーの動揺の測定および足圧計による足圧の測定を同時に施行することで得られた計測値から、COPとCOGの側方位置の差分とCOGの加速度の間に高い相関が観察された。この関係が常に成り立つと仮定し、健常人およびパーキンソン患者のデータにおいてCOGとCOPの初期位置とCOPの速度からCOGの位置を計算し、最終的なCOGの位置に収束する定数が存在するかどうか検討を行ったところ、健常者において実際のCOGの動きとよく相の一致する定数の設定が可能であり、相関係数は0.98±0.01, 差の平均も0.11±0.02cmと加算誤差は低値であった。ただし、パーキンソン病患者では係数の設定が困難であった。そこで、次に単脚支持期と両脚支持期ではCOPとCOGの関係が変化すると仮定し、検討を行った。そうすると、全例において一つの係数を仮定するよりも当てはまりの良い係数の最適解が求められた。実測値と推測値の相関係数は0.99±0.01, 差の平均は0.09±0.03cm, 差の絶対値の平均は0.23±0.03cm, 振幅は実測値の103.8±6.5%であった。さらに、脳卒中患者の歩行時におけるCOG-COP関係の検討を実施した。この検討では歩行中の足圧と三次元計測を同期的に行うことで、重心位置と足圧位置の関係性からバランス制御の能力を評価することを試みた。踵接地から単脚支持期にかけての足圧中心と重心の位置の差分の平均が、ステップ動作時と同様に歩行時の重心速度と高い相関を示した(r= 0.77~0.83)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度中の開始を予定していた内容のうち、外乱に対する反応の測定が十分に検討できなかった。外乱に対する反応の測定に当初予定していたトレッドミルを用いた手法では、左右方向の外乱の分析に限界があり、外乱測定装置を作成したが、作製に当初の予定より時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに外乱に対する反応の指標化することに取り組むとともに、特に歩行中のバランス制御の構造について多変量解析の手法を用いた包括的なモデル化を進める。特に外乱に対する反応については、外乱発生装置を作成することで、定量的な外乱の負荷とそれに対する反応を測定できるよう計画している。データから導き出された要素間の関係式に基づいて、バランス機能の構造を明らかにすることに取り組む。
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Research Products
(1 results)