2018 Fiscal Year Annual Research Report
太陽風回収試料の直接原子分析による2003年ハロウィン太陽嵐の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Solar-Terrestrial Environment Prediction as Science and Social Infrastructure |
Project/Area Number |
18H04434
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
圦本 尚義 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80191485)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地球化学 / 宇宙化学 / 太陽風 / 宇宙天気 / 惑星探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,人類観測史上最大の太陽フレアである2003年ハロウィン太陽嵐のコロナ質量放出(CME)成分を,NASA Genesis探査機によりサンプルリターンされた太陽風の中から同定し,その速度分布を物質科学的に決定することである.本研究では,太陽を構成する第2最大成分であるヘリウムに着目し,Genesisが回収した基板への太陽風ヘリウムの注入深さ分布を測定することにより,ハロウィン太陽嵐当時の太陽風の速度分布を決定する.そして,それを太陽観測衛星の結果と比較し,ハロウィン太陽嵐のフラックスを検証する.この研究成果は,ハロウィン太陽嵐に限らず,CMEの原子放出メカニズム,CME放出原子の惑星間空間伝播メカニズム,地球磁気圏と太陽嵐との相互作用の解明のために貢献すると思われる.本年度は以下の研究成果が得られた. 同位体ナノスコープLIMASによる太陽風のその場分析を,NASA Genesis探査機が持ち帰った太陽風回収試料について行った.バルク太陽風が照射されたGenesis試料中の太陽風ヘリウムの分析では,特に,深さ100 nm以深へのヘリウムの注入分布を明らかにした.このヘリウム注入分布を,多数の異なる運動エネルギーを仮定したヘリウムの飛程分布曲線に分解することにより,太陽風の深さ方向分布曲線を太陽風の速度分布曲線に変換した.この回収試料から得られた速度分布曲線とACE/SWICS探査機により得られた速度分布曲線を比較することにより,SWICS分析器のキャリブレーション因子について議論した.以上の実験をCME太陽風だけが照射された回収試料についても実施し,太陽風ヘリウムの速度分布を正確に求める方法を確立した.その結果,バルク太陽風とCME太陽風の両方の試料においてハロウィン太陽嵐起源のCMEヘリウムの速度分布が一致することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要に要約した今年度の研究成果は,当初の研究計画にしたがい実施した結果であり,当初予想した結果を達成し,予想を上回る成果の期待を示す結果も得られ始めているため.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い以下の研究を計画する. 同位体顕微鏡と同位体ナノスコープLIMASによる太陽風の水素とヘリウムのその場分析を,NASA Genesis探査機が持ち帰った太陽風回収試料について行う.これらの分析装置は我々が独自に開発した質量分析装置であり,水素の高感度分析と希ガスのその場分析が可能な世界唯一の装置である.その分析方法として深さ方向分析法を適用し,超高空間分解能「表面方向分解能1μm・深さ方向分解能10 nm」の条件で分析を行う.特に,Genesis試料のうち,CME太陽風が照射された試料中の太陽風水素の分析を行う,この水素注入分布を,多数の異なる運動エネルギーを仮定した水素の飛程分布曲線に分解することにより,太陽風の深さ方向分布曲線を太陽風の速度分布曲線に変換する.この回収試料から得られた速度分布曲線とACE/SWEPAM探査機により得られた速度分布曲線を比較することにより,SWEPAM分析器のキャリブレーション因子について議論する.これらの結果とヘリウムの結果を総合し,ハロウィン太陽嵐の水素とヘリウムの元素分別について議論する.
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Research Products
(42 results)
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[Presentation] Discovery of Breccias on Bennu and Comparison to Chondrites.2019
Author(s)
H. C. CONNOLLY JR., T. J. MCCOY, K. J. WALSH, D. S. LAURETTA, E. R. JAWIN, D. N. DELLAGIUSTINA, V. E. HAMILTON, P. R. CHRISTENSEN, M. DELBO, O. BARNOUIN, L. P. KELLER, S. MESSENGER, K. NAKAMURA-MESSENGER, S. TACHIBANA,, H. YURIMOTO, AND THE OSIRIS-REX TEAM.他7名
Organizer
Solar-System symposium in Sapporo 2019
Int'l Joint Research
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[Presentation] Comparison of solar wind He implantation profiles among Genesis H, L, and E collectors.2019
Author(s)
K.BAJO, A.TONOTANI, C.T.OLINGER, A.J.G. JUREWICZ, D. S. BURNETT, I. SAKAGUCHI, T. T. SUZUKI, S. ITOSE, M. ISHIHARA, K. UCHINO, R. WIELER, AND H. YURIMOTO
Organizer
Solar-System symposium in Sapporo 2019
Int'l Joint Research
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