2018 Fiscal Year Annual Research Report
Extreme Episodes in the Atmosphere Viewed by InSAR
Publicly Offered Research
Project Area | Solar-Terrestrial Environment Prediction as Science and Social Infrastructure |
Project/Area Number |
18H04435
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古屋 正人 北海道大学, 理学研究院, 教授 (60313045)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 合成開口レーダー干渉法 / InSAR / 極端気象 / 集中豪雨 / 電離圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
【課題A】集中豪雨/雷雲へのInSAR Split-Spectrum-Method(SSM)の適用と位相モデルの検討 2008年8月10日に宮崎県で発生した集中豪雨、2010年8月25日に新潟・山形県境付近で起きた集中豪雨に伴う位相変化をALOS1号データに基づくInSARで検出した。見かけ上30cmの視線距離変化に対応する位相変化の大半は豪雨に伴う水蒸気分布によるものである.しかし,SSMを適用するとその豪雨域に「分散性」の位相異常も現れる.水蒸気に伴う位相は理論的に「非分散性」で,通常の屈折率の周波数依存性モデルにおいて「分散性」の位相は電離層の自由電子を反映する.そこで,Solheim et al(1999, JGR)に倣って,豪雨に伴う降雨粒子が示す周波数依存性モデルを仮定したSSMを適用し,標準的な周波数依存性モデルの結果と比較した.この二つの事例については,後者の降雨粒子が示す周波数依存性モデルによるSSMの方が空間的ばらつきの少ない結果を与えている.また,2017年7月7日の九州北部豪雨に伴う位相異常をALOS2号データで捉えたが,この画像撮像時には電離層異常そのものが大きかったことと降水強度自体が前二例よりは小さかったためもあり,標準的な周波数依存性モデルの方が「分散性」「非分散性」の位相を分割できている. 【課題B】電離層擾乱へのInSAR SSM の適用 InSARで電離層擾乱を検出するにあたり,情報通信研究機構のDense Regional And Worldwide INternational GNSS-TEC observation (DRAWING-TEC) プロジェクトによるROTI(Rate of TEC Index)マップが有効であることを確認した.これに基づいてALOS2のScanSARモード画像を用いて広域の電離層擾乱の検出を試みている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【課題A】集中豪雨/雷雲へのInSAR Split-Spectrum-Method(SSM)の適用と位相モデルの検討 2017年九州北部豪雨以外に新しい事象を検出できなかったため、やや遅れている。 【課題B】電離層擾乱へのInSAR SSM の適用 ALOS2の撮像モードSM3のデータにおいて,InSAR SSMが適用できない場合があることに気づき,その原因について考察した(古屋ほか, 2018年日本測地学会130回講演会; Furuya et al., AGU Fall Meeting, 2018).いくつかの事例について対処方法も検討したが,結果としてJAXAが提供するデータに技術的問題があることが判明し,JAXAによる改善の結果,2018年12月以降に注文したデータは正常であることを確認した. InSARは衛星視線方向の位相変化に感度を持つのに対して、衛星進行方向の位相変化に感度を持つMultiple Aperture Radar Interferometryの適用が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
【課題A】集中豪雨/雷雲へのInSAR Split-Spectrum-Method(SSM)の適用と位相モデルの検討 ALOS2/PALSAR2の日本周辺の撮像日時は、日本時間の23時半から24時(Ascending軌道)か11時半から12時頃であることから、この時間帯かつ夏季の全国合成レーダーGPVを系統的に処理して、降水強度の強い場所と時間帯を探索するための手順を開発する。それらの日時と場所に対応するALOS2画像を選び、同じパスフレームの別のALOS2画像を用いて、InSAR処理を適用し、位相モデルを比較する。 【課題B】電離層擾乱へのInSAR SSMとMultiple Aperture Interferometry(MAI)の適用 情報通信研究機構によるDRAWING-TECプロジェクト(Dense Regional And Worldwide INternational GNSS-TEC observation)のROTIデータから、課題Aでも触れた日本周辺の撮像日時を抜き出して、顕著なROTIが現れる場所と時間帯を探索する手順を開発する。それらの日時と場所に対応するALOS2画像を選び、同じパスフレームの別のALOS2画像を用いて、InSAR処理を適用し、位相モデルを比較する。また,MAIの適用によって衛星進行方向のTEC分布も検出する。 また、InSARは海上に当たる電離圏には感度を持たないため、日本周辺を対象とすると観測域が東西方向に狭くなりがちである。陸域面積の広いアメリカ合衆国やヨーロッパにおいても、GNSS-TECが得られつつあるので、検索範囲を海外に拡げることも考えている。
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Research Products
(3 results)