2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on physiologically active lipid ligands produced by Fusarium filamentous fungi
Publicly Offered Research
Project Area | Frontier research of chemical communications |
Project/Area Number |
18H04623
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
櫻谷 英治 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10362427)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 脂肪酸二次代謝産物 / 糸状菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然界から廃グリセロールを利用可能な菌のスクリーニングを行った結果、脂肪酸二次代謝産物(10-ヒドロキシ脂肪酸と10-オキソ脂肪酸)を著量蓄積する糸状菌の単離に成功している。通常培養では生成されないこれら脂肪酸二次代謝産物は特定のストレス下で生成することから生理活性脂質リガンドとして機能することが期待される。菌体内でこれら脂肪酸二次代謝産物の貯蔵形態や生理学的機能が解明されれば、これら脂肪酸二次代謝産物を含む脂質が新たな生物活性脂質リガンドとして機能すると考えられる。 1. 脂肪酸二次代謝産物の蓄積条件の検討:自然界より単離した糸状菌にさまざまな脂質を添加し培養したところいくつかの植物油やオレイン酸を添加した時に10-ヒドロキシ脂肪酸が著量生成することを見いだした。 2. 菌体内脂質の構造解析:オレイン酸を添加し培養すると脂肪酸二次代謝産物を多くつくる糸状菌の脂質を染色し顕微鏡観察した。オレイン酸を添加した時に細胞内に染色される領域が大きく出現することが分かったが、それらが脂肪酸二次代謝産物であるかどうかはさらに検証する必要がある。 3. 脂肪酸二次代謝産物を含む脂質生産:1. でも記述したように、オレイン酸を添加した時に著量の10-ヒドロキシ脂肪酸が生産されることが分かった。18 mgのオレイン酸から約4 mgの10-ヒドロキシ脂肪酸をつくることがわかった。 4. オレイン酸水和酵素遺伝子の単離:これまでに報告のあるオレイン酸水和酵素遺伝子の相同性検索から本糸状菌よりオレイン酸水和酵素ホモログ遺伝子を単離した。大腸菌による発現解析からオレイン酸への水和活性を有することが分かった。糸状菌からのオレイン酸水和酵素遺伝子を初めてクローニングした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪酸二次代謝産物(10-ヒドロキシ脂肪酸と10-オキソ脂肪酸)を著量蓄積する糸状菌の諸性質の解析を行ってきた。本糸状菌は通常培養ではこれら酸化型の脂肪酸をつくらないものの、オレイン酸を利用できる環境下では積極的に脂肪酸二次代謝産物をつくることがわかった。計画にあげた研究項目に対してもそれぞれ結果をだし、研究はおおむね順調に進んでいると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究で扱っている糸状菌の形質転換系の開発、オレイン酸水和酵素の著性質解明を優先して行う必要がある。また、脂肪酸二次代謝産物を作る条件が明らかになったので、それらを作る条件の菌体と作らない条件の菌体が植物に及ぼす影響を検討することも課題といえる。
|
Research Products
(3 results)