2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating whether and how hematocytes hamper willpower
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
19H05021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北岡 志保 神戸大学, 医学研究科, 講師 (00545246)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | うつ / ストレス / 血球細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
適度なストレスは生存に有利な生体反応を誘導するが、過度なストレスやストレスの遷延化は抑うつ、興味や喜びなどの快感覚の消失、思考力の減退など様々な行動変化を誘導する。同時に、ストレスは交感神経系や内分泌系の活性化を介し、末梢臓器にも影響を及ぼす。古くから、ストレスは血中のリンパ球に対する好中球の比(Neutrophil-Lymphocyte ratio)を増加することが知られているが、脳機能変化との関連については不明である。そこで、反復ストレスによる血球の動態変化を精査した結果、反復ストレスは血中の好中球や血小板を増加し、赤血球を減少した。しかし、これらの血球数の変化が脳機能変化に関与するかは不明である。赤血球の破壊の場である脾臓は反復ストレスにより肥大することから、赤血球の減少に着目した。反復ストレスは骨髄での成熟した赤芽球の分化を抑制した。また、反復ストレスは脾臓での髄外造血を誘導したが、成熟した赤芽球の分化を抑制した。腎臓で産生されるエリスロポエチンは反復ストレスによりむしろ増加したことから、腎性貧血の関与は否定された。これらの結果から、赤血球の分化抑制は鉄欠乏が原因であると考えられた。この仮説に合致し、反復ストレスは血清鉄を減少した。生体内の鉄代謝制御を調べるため、各組織に含まれる鉄量を測定した。その結果、反復ストレスは特定の組織で鉄を蓄積した。この結果は、反復ストレスが鉄代謝異常を誘導する可能性を示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反復ストレスによる血球細胞の変化を精査し、反復ストレスが誘導する組織恒常性破綻の新たな可能性を見出した。さらに、反復ストレスによる好中球の増加に関する解析にも着手し、好中球の変化を捉えている。 また、反復ストレスは肝臓の機能変調を誘導することから、RNA-seq解析やメタボローム解析を行った。その結果、肝臓で変化する複数のパスウェイの絞り込みを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
反復ストレスが赤血球を減少する分子機序を解明する。ストレスは交感神経系や内分泌系を活性化することから、内分泌系や交感神経系の関与について検討する。また、ストレスは脳や末梢で炎症を誘導することから、炎症性貧血の関与についても検討する。反復ストレスによる貧血への関与が示された分子については、生体内の発現分布を調べ、遺伝子欠損マウスなどを用いて作用点を同定する。血球細胞での発現が関与する場合には、骨髄移植を行う。 また、反復ストレスによる赤血球の減少が脳機能変化に関与するかについても検討する。具体的には、鉄補充や鉄欠乏を行い、マウスの行動や神経細胞・グリア細胞の変化を調べる。 肝臓は鉄代謝制御に重要な組織であることから、肝臓で発現変化する鉄代謝制御関連遺伝子を同定し、反復ストレスによる赤血球の減少や脳機能変化への影響を調べる。
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Research Products
(14 results)