2019 Fiscal Year Annual Research Report
Y染色体からみたヤポネシア男性の起源・成立の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering Origin and Establishment of Japonesians mainly based on genome sequence data |
Project/Area Number |
19H05346
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 陽一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (10363160)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Y染色体 / ハプログループ |
Outline of Annual Research Achievements |
Y染色体の詳細なハプログループ解析によるヤポネシア男性の成立と、Y染色体ハプログループと全ゲノム解析によるヤポネシア人の集団構造との関係を調査し、ヤポネシア男性が辿ってきた道筋を明らかにするため、以下の研究を行った。 1)最新のハプログループ系統樹への更新:ハプログループの系統樹は毎年更新され、年々詳細に分類されるようになっている。本年度はInternational Society of Genetic Genealogyの最新版の系統樹に従ってヤポネシアY染色体ハプログループの細分化を行った。これまでに100サンプルほどについて細分化できた。 2)Y染色体ハプログループと全ゲノム解析によるハプログループ間のクラスター分類:およそ800人のヤポネシア男性について、SNPアレイを用いて全ゲノムジェノタイピングを行った。得られたデータを使用して主成分分析を行いY染色体ハプログループ毎に分類した。Y染色体ハプログループ間で解析した結果、特に違いはみられなかった。次にハプログループ間の遺伝的背景の相違について関連解析を行った。その結果、各ハプログループの推定発生時期に関して解析を行うとゲノムワイドな有意水準を満たす領域が同定された。 3)Y染色体ハプログループ毎のY染色体構造解析:Y染色体の長腕にあるパリンドロームには、DAZなどの遺伝子が複数コピー存在している。本年度はこれらの遺伝子の欠失パターンとハプログループとの関係について検討を行った。その結果、日本の主要なY染色体ハプログループでは、6つの遺伝子のコピー数変動が最初に発生し、その後さらに細分化ハプログループへ分岐していったことが示唆された。一方、まれなハプログループについては、比較的最近になってコピー数の変動が生じたか、又は異なる祖先由来のY染色体が日本に流入したと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回100サンプルについて、最新版のY染色体ハプログループの系統樹に従い細分化することができた。例えば、C1a1はC1a1a1、C1a1a1a2~などに、C2はC2b1a1、C2b1a1a、C2b1a2、C2b1a2a2b~、C2b1b1などに分類することができた。他にD1a2、O1b2、O2などについても細分化できた。Y染色体ハプログループ間のクラスター分類については、違いがないという結果になってしまったが、Y染色体ハプログループ間の遺伝的背景の相違について関連解析を行った結果、強い関連を示す遺伝子座が同定できた。Y染色体ハプログループ毎のY染色体構造解析に関しては、現代ヤポネシア人のY染色体がどのように生じたのか、その成立の解明に貢献できるデータが得られた。従って概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Y染色体のゲノム解析からヤポネシア男性が辿ってきた道筋を明らかにするため、今年度は以下の研究を計画している。 1)Y染色体ハプログループの更新と分布調査:まだ、細分化できていないハプログループについて引き続き解析を進める。また、日本各地から収集した1000名以上のサンプルについて、Y染色体ハプログループを決定し、地域毎の頻度調査を行う。この解析により、ヤポネシア男性の移動や拡散の様子を明らかにする。 2)Y染色体ハプログループとクラスター分析:各ハプログループの推定発生時期と関連を示した遺伝子領域について、さらに別個のサンプルを対象にvalidation解析を行う。また、この領域の遺伝子変異のアレル頻度について分布調査を行い、この遺伝子変異の獲得と拡散の成立を明らかにする。 3)Y染色体ハプログループ毎のY染色体構造解析:引き続き、Y染色体パリンドロームに複数コピー存在する遺伝子の欠失や重複について解析を行う。また、ハプログループ毎に全ゲノムシーケンスを行い、Y染色体の構造の違いを比較することでヤポネシア男性の成立を解明する。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Genome-wide association study of semen volume, sperm concentration, testis size, and plasma inhibin B levels2020
Author(s)
Youichi Sato, Atsushi Tajima, Misaki Kiguchi, Suzu Kogusuri, Aki Fujii, Takehiro Sato, Shiari Nozawa, Miki Yoshiik, Makiko Naka-Mieno, Kosuke Kojo, Masahiro Uchida, Haruki Tsuchiya, Kazumitu Yamasaki, Issei Imoto, Teruaki Iwamoto
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Journal Title
J Hum Genet
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
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