2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of synthetic biological tools to modify metabolic fates of cells
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Approaches for Miscellaneous / Crowding Live Systems |
Project/Area Number |
20H04694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 徹 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (40599172)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 創薬化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内では,様々な代謝反応(化学反応)が厳密に制御されておこなわれているが,これらの反応が正しくおこなわれない場合,細胞の状態異常や,これに伴う疾患が生じることに繋がる.しかしながら,細胞内の夾雑環境の中で,これらの代謝反応が整然と制御されておこなわれているメカニズムについて,いまだに私たちの理解が十分になされていないというのが現状である.特に本研究では,細胞内の代謝反応が起こる「場」の影響について精査することを可能とするため,代謝反応が起こる場を任意のタイミングで制御する合成生物学の方法論を開発することを目指す. これまでの研究実績として,メチル化ポテンシャルを規定する補酵素S-adenosylmethionineの代謝過程に摂動を与える実験系(J. Am. Chem. Soc. 2020)や,抗体を利用して細胞内のシグナル伝達系を制御する様々な細胞機能摂動系を確立することに成功した(J. Am. Chem. Soc. 2020).これらの成果をまとめて,実際に疾患に関わる代謝異常を理解し,その適切な制御によって治療に繋げることを目指す応用研究が可能となったと期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は,基本的には研究計画書の通り進行しているが,加えて,研究計画書に記載していなかった新たな研究の方向性として,抗体を用いて細胞の機能に摂動を与える実験系を構築することに成功した(J. Am. Chem. Soc. 2020).これは,新学術領域研究に参加する多様な研究者とのディスカッションの中で培われたアイデアに基づくものであり,本領域において公募研究を実施したことの賜物であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究の進捗を受けて,特に新たに開発することに成功した実験系を活かした研究開発を中心的に進め,細胞内局所の代謝が果たす生物学的役割の一端の解明を目指す. (A) 昨年度の研究において,細胞内の表現型に摂動を与える新たな方法論を開発することに成功した(J. Am. Chem. Soc. 2020).本技術を更に発展させて,細胞内の様々な代謝過程の制御をおこなうことを目指す. (B) 細胞内のメチル化反応において重要な役割を果たす補酵素S-adenosylmethionine(SAM)の局所濃度を制御する実験系の開発をおこない,その有用性を確かめることに成功した.本年度の研究において,各種疾患や発生,老化などの過程でこれらの代謝制御がどのように表現型に影響を与えるかをモデル系を用いて明らかにし,局所のメチル化ポテンシャルを細胞がどのように利用しており,その異常が各種疾患の成り立ちとどのように関係するかを明らかにしていくことを目指す.
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Research Products
(8 results)