2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of chemoselective domino-type reactions by boron-photoredox hybrid catalysis
Publicly Offered Research
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
20H04797
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 洋平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60609816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カルボン酸 / ラジカル / 光 / 一電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで独自に発展させてきたホウ素触媒によるカルボン酸のエノラート生成法を基盤として、光照射によるエノラートの励起を組み込むことで触媒的ラジカル反応の開発に成功した。 カルボン酸を基質とした触媒的ラジカル反応は、副反応として脱炭酸が容易に進行してしまうために開発が進んでこなかった分野である。本研究では、ホウ素エノラートが光励起されることによってはじめて1電子移動が起こるという機構でラジカル反応が開始されるため、脱炭酸が起こらず、カルボン酸α位での修飾反応が進行する。ホウ素上の配位子構造が反応の進行に大きな影響を与えていることがわかったため、さまざまな構造の配位子を合成し、検討を行った。その結果、広いπ共役系を有する配位子を用いるほど高効率に反応が進行することが明らかとなった。最適配位子をもとに基質一般性の検討を行ったところ、様々なαアリールカルボン酸に適用可能であった。また、エステルやケトン存在下にもカルボン酸α位のみで反応が進行する化学選択性を有することも確認できた。 上記の光駆動型反応に加えて、オレフィンとカルボン酸から一挙にラクトンを形成する、新たな反応の初期的知見を得ることができた。ホウ素触媒存在下、適切な活性化剤を添加するとカルボン酸α位での炭素-炭素結合形成とカルボン酸酸素原子とオレフィンとの酸素-炭素結合が一挙に形成される。現在のところ反応機構は不明であるが、ホウ素触媒非存在下ではラクトン形成は進行しないことがわかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光照射を鍵としたカルボン酸のα位修飾反応を見出しており、ホウ素触媒と配位子との協働作用が重要であるとの知見を得ている。本結果は次年度にドミノ型反応へと展開するための重要な基盤となる。 また、カルボン酸とオレフィンを基質とした新たなラクトン形成反応も端緒を見出しており、発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに見出した、カルボン酸ホウ素エノラートの光励起を経由した1電子移動を基盤として、ラジカル活性種を用いたドミノ型反応の開発に取り組む。 用いるホウ素触媒の配位子構造が光励起に重要な役割を果たしていることが示唆されているため、配位子の検討を中心に行うこととする。
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Research Products
(4 results)