2020 Fiscal Year Annual Research Report
Increasing complexity of signals through adversarial imitation learning in cumulative cultural evolution
Publicly Offered Research
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
20H04989
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯塚 博幸 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (30396832)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 敵対的模倣学習 / 複雑化 / 階層性 / 意図共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,認知実験とコンピュータによる構成論的アプローチによって,単純なシグナルのやりとりでの「真似したいが真似されたくない」という敵対的模倣関係のなかから,そのシグナル上にいかにして言語的な階層構造が意図共有を通して創発可能かを明らかにすることである.初年度においては,Kirbyらの行った累積的文化進化の実験室実験を拡張することで実験する予定であったが,対面での実験が難しかったため,実験装置の作成と小規模な予備実験に留めた.実験ではサイモンゲームを用いて,味方プレイヤには真似されるように,敵プレイヤには真似されないように色パターンを生成する.予備実験結果においては,相手には真似されないように色パターン系列を生成すると,生成されるパターンの複雑化がシミュレーションと同様に見られることを明らかにした.生成されたパターン系列は,複雑さの指標として圧縮率と構造化の指標としてSQUITURアルゴリズムを用いて評価した.しかし,生成されるパターンにおいて,構造化されるようなものは得られなかった.一方で,シミュレーションでは,機械学習で注目を集めている敵対的生成ネットワークを利用して,敵対的模倣学習のモデル化を行った.敵対的生成ネットワークでは,実画像を利用することで,実画像と同程度の複雑さをもち,かつ,リアリティを人に感じさせる構造的特徴を学習可能である.これを利用して敵対的模倣学習をモデル化することで,前回の公募課題のときには見られなかった2者間において,時系列パターンの複雑が生じることを示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験室実験は,実施が難しかったためシミュレーションモデルを先に重点的にすすめることにした.シミュレーションモデルでは従来のモデルでは得られていなかった2者において時系列パターンが複雑化し,カオス時系列を生成する結果が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の実験結果から,人が行う敵対的模倣学習において単に相手から真似されたくないという学習ではパターンは真似されにくい複雑化が生じることが明らかになったが,パターンの階層性を示すような構造化は見られなかった.これは,真似されたくない敵対者と真似してほしい味方との間でパターンを生成するうえで,全く同条件であることに起因すると考えられる.そのため,実験室実験においては,味方・敵対者の間に非対称性を導入するために,実験に身体性を導入する.味方は遺伝的に近縁で,敵は遺伝的に遠いと前提とすることは妥当であり,パターンを生成するための身体の構造や使い方の違いを持ちうる.この考えに基づき実験を行っていく.
|
Research Products
(1 results)