2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the Creation of Urban Landscape in Mesoamerica
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
20H05131
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 伸幸 名古屋大学, 人文学研究科, 助教 (40273205)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市創成 / メソアメリカ / 南東部太平洋側 / チャルチュアパ / 先古典期 |
Outline of Annual Research Achievements |
メソアメリカ南東部太平洋側地方の主要遺跡チャルチュアパの調査を中心として、都市空間創成史の再構成を目標とした。遺跡とその周辺の考古学調査で得られた層位学的な資料と自然地理学的調査成果を基に、都市景観を形成する以前の自然景観を復元する。また、どの自然環境のニッチを先古典期の人々が都市をつくるために選択したのかを解明する。 考古学では、先古典期前期から先古典期後期に至る時期の都市景観の復元に焦点を当てる。モニュメンタルな建造物や石彫などが追加され、どのように都市景観が形成されたのかを明らかにする。建造物の建設と都市空間の創成の様相を探るため、エルサルバドル最大の土製建造物E3-1を2022年8-9月と2023年2-3月に発掘した。考古学調査では、都市景観の中心を成す建造物の建築様式とその構造を解明するために、トレンチによる発掘を計画した。発掘成果によると、この土製建造物の外壁部分などは残っていなかったため、建築様式は明らかにできなかった。しかし、内部の建築構造が判明した。また、この地区で最初につくられた建造物に属するか、もしくはそれより以前の床面が検出できた。その床面の下を掘り下げたところ、無遺物層に達した。 自然地理学的調査では、ヒトが住み始める前の自然景観の復元を目標としている。また、どの自然環境のニッチを先古典期のメソアメリカの人々が選択したのかを解明する。既存の4万分の1の空中写真を用いた地形判読と、UAVで撮影した空中写真のSfM解析から、サンタ・アナ火山北側中腹の寄生火口からフィッシャー沿いに延びる長大な溶岩ローブの先端が、チャルチュアパ遺跡エルトラピチェ地区付近にあることを確認した。同地区周辺には湧水がみられるが、これは溶岩中の伏流水が溶岩ローブ先端から湧出したものである可能性が指摘され、都市の成立に重要な要素である水と、地形・地質との関係性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大による影響に伴い研究協力者の所属機関(エルサルバドル文化省文化遺産局)における厳しい外出制限により、予定していた実地調査(発掘調査)が実施できなかった。また、現地調査許可の更新に関して、エルサルバドル文化省により、従来の調査許可規則が無効になり、同省文化遺産局と直接交渉する必要があった。このために、調査許可が下りるのが大きく遅れた。 2022年度調査実施に向けエルサルバドル政府と調整を続けてきたが、更に書類の提出を2022年7月8日に依頼され、協定締結が同年7月25日となった。その後、当該政府文化大臣の署名が更に遅れ、調査が許可されたのが同年8月10日となった。同年9月末までに成果取りまとめに不可欠な実地調査を一部しか実施できなかった。 このため、2023年2~3月に、現地調査を実施した。本来、2~3月には現地調査の取りまとめをする予定であった。しかし、現地調査成果の取りまとめは、2022年2~3月の調査後となった。このために、調査成果を取りまとめと評価が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の調査では、以上の調査結果を踏まえて、以下の課題がある。 1.チャルチュアパ遺跡の都市化の始まりの解明、2. チャルチュアパ遺跡とその周辺の自然地理学的調査による原風景の復元。 1については、この遺跡最大で最初のモニュメンタルなE3-1建造物がたてられた当時の床面若しくはそれ以前の床面がヒトが居住し始めた時の床面であることが明らかになった。 この建造物の建築様式と建築構造と絡めて、都市化する過程を解明する。一方、先古典期前期のモニュメンタルな建造物を建設する以前の原風景の復元と都市景観の復元を今までの調査から解明する。2023年度以降の調査で、以上の調査課題を考慮して、調査する予定である。 2については、自然地理学的調査によって得られた資料を今後解析する。本研究で、チャルチュアパ遺跡全体と溶岩ローブの北半部をUAVで撮影した。しかし、そのSfM解析は、溶岩ローブの先端部とエルトラピチェ地区の関係性をみるに留まっている。そのため、今後、撮影された写真のSfM解析を進め、遺跡と溶岩ローブの地形的関係を明らかにすることで、都市の基盤となる地形・地質および地下水等についての考察が可能となる。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] Volcanic Lateral Collapse Processes in Mafic Arc Edifices: A Review of Their Driving Processes, Types and Consequences2021
Author(s)
Romero, J.E., Polacci, M., Watt, S., Kitamura, S., Tormey, D., Sielfeld, G., Arzilli, F., La Spina, G., Franco, L., Burton, M. and Polanco, E.
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Journal Title
Frontiers in Earth Science
Volume: 9
Pages: 1-23
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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