2020 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of a framework for systematic comparison of experimental data on various dark matter searches with new physics models
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
20H05239
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
馬渡 健太郎 岩手大学, 教育学部, 准教授 (90814096)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 暗黒物質 / 暗黒物質残存量 / 暗黒物質直接探索実験 / 暗黒物質間接探索実験 / 暗黒物質生成 / ILC / 拡張ヒッグス模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初は2020年4月から2年間の研究計画であったが、初年度 (2020年度) はコロナ禍の影響で、予定していた国際会議出席や研究会開催等が行えなかったため予算のほとんどを2021年度へ繰り越した。
本研究課題は、各種暗黒物質探索実験データと素粒子模型を照合し、暗黒物質の正体に迫る枠組みを構築することを目標としている。その最初のステップとして、素粒子標準模型に複素スカラー場を加えた拡張ヒッグス模型を例にとり、各種暗黒物質探索実験、特に、直接探索、残存量の実験データから許される模型のパラメーター空間を特定した [Phys. Rev. D 104 (2021) 035023]。この論文ではさらに、その許されたパラメーターが示唆する質量が数GeV以下に縮退した付加的ヒッグス粒子が、将来のILC実験等のヒッグス粒子精密測定において観測可能かどうかを詳細に調べた。この研究は、お茶の水女子大学の学生の修士論文のテーマとして始めたものであったが、暗黒物質探索における包括的な知見が得られ有意義な研究となった。理論、つまりラグランジアンから出発し、シミュレーションツールのためのモデルファイルを作るところから始め、実験データと比較するために、暗黒物質ー核子散乱断面積、暗黒物質残存量の計算を統一的に行った。さらにイベント生成プログラムを用いてILC実験のためのパートンシャワー・ハドロン化・検出器の効果まで含めたより現実的なシミュレーションを行った。
陽子-陽子散乱であるLHC実験においてはグルーオン、電子-陽電子散乱であるILC実験においてはフォトン(光子)による輻射をゲージ理論に基づき正しくシミュレーションすることが実験データとの比較の上で重要となる。我々はシミュレーションの精度、速度向上を念頭に、散乱振幅の新しい計算手法(パートンシャワーゲージ)を開発、提案した[Eur. Phys. J. C 80 (2020) 584]。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、予定していた国際会議出席や研究会開催等が行えず、特に海外の共同研究者との研究がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
このコロナ禍においてまだ予断は許さないが、徐々に国内・海外移動も可能になりつつある。感染対策を十分施した上で、国際会議への参加、また国内(外)の暗黒物質に関する専門家を集めて研究会を開催し、本研究課題の総括としたい。
|
Research Products
(5 results)