2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリCagAの分子立体構造と病原生物活性の相関
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 秀明 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 教授 (20311227)
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Keywords | 胃がん / 細菌感染 / 分子モデリング / タンパク質結晶化 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
全長CagAのプロテアーゼ限定分解などの解析結果から、CagAはN末端側およびC末端側それぞれにドメイン構造を有し、個々のドメインを構成するフラグメントは分子内で相互作用を示すことをこれまでに明らかにしてきた。そこで、CagA分子内相互作用に関わる構造基盤の解明を目的として、CagA分子内相互作用に分子機構に関する解析を行った。 1)In vitro再構成実験の結果から、CagAのN末側領域(アミノ酸1-876)におけるアミノ酸配列554-617及び708-821の双方が、CagAC末側領域(アミノ酸877-1186)との分子内相互作用に必要であった。一方、CagAC末側領域配列を基に合成されたペプチドによる競合阻害実験から、CagAアミノ酸配列977-1077に相当するペプチドの存在により、CagAN末側及びCagAC末側フラグメント間の結合が抑制された。アミノ酸配列977-1077領域における一連の欠失変異体を用いた解析から、アミノ酸配列1027-1038に相当する11個のアミノ酸が、CagAC末側領域の分子内相互作用に関わる責任部位であることが明らかとなった。 2)アミノ酸配列998-1038を欠失させた変異型CagAを胃上皮AGS細胞に発現させたところ、野生型CagAに較べ細胞形態変化を示した細胞数及び細胞の伸長率が大きく減少した。この時、変異型CagAのチロシンリン酸化レベルは野生型CagAと差は見られなかったが、リン酸化型CagAの細胞内標的分子であるSHP-2との複合体形成量が低下していた。 これらのことから、CagAにおける分子内相互作用は構造的にSHP-2複合体形成に深く関与し、SHP-2の異常活性化を必要とするCagAの癌タンパク質としての機能発現に深く関わっているものと推察される。
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Research Products
(1 results)