2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核で持続感染するマイナス鎖RNAウイルスの複製基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022023
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝長 啓造 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (10301920)
|
Keywords | ボルナ病ウイルス / RNAウイルス / 細胞核 / 持続感染 / クロマチン |
Research Abstract |
モノネガウイルス目ボルナウイルス科に属するボルナ病ウイルス(BDV)は細胞核で持続感染する。これまでに、BDV持続感染にはウイルスのリボヌクレオ蛋白質複合体(RNP)と宿主クロマチンとの接合が重要であることを明らかにしてきた。また、クロマチン結合性のDNA構造変換因子HMGB1とBDVのリン酸化(P)蛋白質との相互作用がRNPの動態に関与することを示した。本研究は、細胞核におけるRNAウイルスの複製基盤を明らかにすることを目的に行われた。BDV感染細胞には、核内にウイルス複製部位であるドット状のvSPOTが形成される。vSPOTはクロマチン近傍に形成されることがわかっているが、その数や形態など、ウイルス複製との相関性については明らかではない。そこで、vSPOTの形成とクロマチンとの位置関係について共焦点顕微鏡ならびに電子顕微鏡を用いて詳細に解析した。また、宿主染色体のエピジェネティックな変化に伴うvSPOTの形態変化とウイルス複製との関連性を染色体の修飾変化を誘導するさまざまな薬剤を用いて検討した。これまでに、宿主の複製に依存したvSPOTの構造変化とウイルス複製の制御が観察されている。さらに、クロマチンへの結合を決定しているウイルス側因子について、chromatin-binding法ならびにin vitro chromatin assembly法にて検討を行った。その結果、BDVのヌクレオプロテイン(N)が単独でクロマチンに結合できることが明らかとなった。一方、PはNとの結合を介してのみクロマチンに局在できることが示され、クロマチン上でのBDVの複製には、HMGB1を介したPの動態制御が重要であると考えられた。以上の結果により、細胞核におけるRNAウイルスのユニークな複製機構とこれまでに知られていない宿主の核内機構との相互作用が明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)