2009 Fiscal Year Annual Research Report
連続時間量子モンテカルロ法による重い電子系の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Emergence of Heavy Electrons and Their Ordering |
Project/Area Number |
21102504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 純也 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (60513877)
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Keywords | 強相関係 / 重い電子 |
Research Abstract |
局在性の強い4f電子が主な物性を担う希土類化合物を近藤格子模型に基づき調べた。動的平均場理論と連続時間量子モンテカルロ法を用いた数値計算により、重い電子の形成に重要な局所相関を正しく取り込んだ計算を行った。それにより、以下の結果を得た。 (1)重い電子の形成を調べる実験手段として、Ce原子を原子番号の1つ小さいLa原子で置き換えるということが行われている。このCe原子の希釈効果を理論的に調べるために、局在スピンが乱雑に配置された近藤格子模型の計算を行った。合金の乱雑なポテンシャルの理論であるcoherent potential approximation(CPA)と呼ばれる近似を動的平均場理論に適用し、連続時間量子モンテカルロ法を用いて数値計算を行った。それにより、重い電子状態のフェルミ面が希釈により特異な変化を示すことを明らかにした。 (2)第一原理に基づいたエネルギーバンド計算と近藤格子模型を組み合わせた計算を行い、現実の化合物の磁気転移温度を見積もった。具体的には、まず4f電子と伝導電子の混成強度の振動数依存性を第一原理計算により求め、それをインプットとして近藤格子模型を動的平均場理論+連続時間量子モンテカルロ法により解き、反強磁性転移温度を計算した。計算の妥当性を確かめるために、これまで多くの実験が行われているCeX2Si2(X=Ru, Rh, Pd, Cu, Ag, Au)を対象とした。数値計算の結果、一連の物質の反強磁性転移温度を再現できることを示した。この枠組みによって任意の圧力下での転移温度を見積もることができるため、実際の化合物における磁性相と非磁性重い電子状態の間の量子臨界点を見積もる手法として今後の応用が期待きれる。
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Research Products
(4 results)