2009 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下蛍光分光システムによる蛋白質の構造的揺らぎの定量的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science of Fluctuations toward Biological Functions |
Project/Area Number |
21107501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石森 浩一郎 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (20192487)
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Keywords | 構造的揺らぎ / 高圧分光法 / ヘム蛋白質 / FRET / 線圧縮率 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである. 1.高圧下蛍光分光システムの改良既設の高圧蛍光分光システムではその蛍光測定の感度が低いため,検知部であるフォトマルを更新するとともに,その光学系を改良することで,高圧下でも高感度に蛍光を測定できる分光システムを確立した.今回開発した高圧下蛍光分光システムでは,耐圧セル内に置いた蛋白質試料からのTrpの蛍光を感度良く検出することに成功した. 2.FRETを用いた蛋白質における局所的線圧縮率の算出蛋白質構造の揺らぎを検出するため,分子内でFRETを起こす人工的な蛋白質を構築した.テンプレートとなる蛋白質としては,比較的その構造的な揺らぎの大きなアポミオグロビン(apoMb)を利用し,蛍光を発する2個のTrp7,Trp14のうちTrp14をPheに置換することで単一のTrpを有する変異体を作成した.この変異体におけるEヘリックス中のLys63,あるいはGヘリックス中のLys102をそれぞれCysに置換した変異apoMbを作成し,ここで導入したCysに,蛍光団であるIAEDANSを結合させた2種のFRET観測用apoMb(FRET-apoMb),W14F/L63C-AEDNAS,およびW14F/L102C-AEDNASを構築した.これらのFRET-apoMbでは,Trp7を励起することにより,Cysに結合させたAEDANSからの蛍光が観測され,Trp7とAEDANS間のFRETが起こることが確認できた.さらに,このFRET-apoMbを耐圧セル内に入れ,1.で作成した高圧下蛍光分光システムを用いて加圧下でのFRET強度の変化を追跡したところ,その強度が加圧に従い増加する領域と減少する領域が観測された.これは,Trpの励起波長でもAEDANSが励起されて,その蛍光の圧力依存性が影響している可能性を示しており,加圧によるFRET強度変化からの距離変化の検討にはこの効果を入れて解析する必要がある.
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Research Products
(1 results)