2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの聴覚行動を制御する神経回路基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
21115515
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
上川内 あづさ Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 助教 (00525264)
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Keywords | 脳 / ショウジョウバエ / 聴覚 / 求愛歌 / 神経回路 / 聴覚神経 |
Research Abstract |
二種類の遺伝学的手法である、GAL4/UAS法とLexA/lexAop法を組み合わせることで、ショウジョウバエの脳において一次聴覚神経の線維と空間的に接する神経線維を高精度でスクリーニングした。まずはLexA転写因子により一次聴覚野があらかじめGFP標識され、かつGAL4転写因子依存に赤色標識タンパク質DsRedを発現するショウジョウバエ系統を遺伝学的に作成した。次にそのショウジョウバエ系統に対して、脳画像データベースから選出したショウジョウバエGAL4系統を順次交配させ、摘出した脳を用いて抗体染色を行い標識された神経線維を共焦点顕微鏡により三次元的に解析した。現在までに67系統のGAL4系統を解析し、ショウジョウバエの脳における二次聴覚野として同定されているIVLP、一次聴覚野として同定されているAMMC内部の領域Aと食道下神経節を結ぶ新規な二次聴覚神経を同定した。また、音刺激に依存した求愛行動の変化を簡便に解析できる実験系を確立した。まずどのような音刺激が有効かを解析した。白色雑音、合成したパルス音、録音したショウジョウバエの求愛歌を雌雄に聞かせ、音刺激前後の雌雄の行動を録画後に解析したところ、録音した求愛歌が最も効率よく求愛行動を誘発することが示された。また、来年度以降の解析は30℃という高温下や19℃という低温下で行う必要があるため、この行動解析系の温度依存性を検討した。その結果、それらの温度においても求愛歌に依存した求愛行動の活性化が確認された。以上の結果により、来年度行う予定の、シナプス伝達遮断実験の予備実験が完成した。
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