2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュの手網核による恐怖行動制御
Publicly Offered Research
Project Area | Systems molecular ethology to understand the operating principle of the nervous system |
Project/Area Number |
21115521
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 仁 The Institute of Physical and Chemical Research, 発生遺伝子制御研究チーム, シニア・チームリ一ダー (40183769)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 恐怖 / 手綱核 / トランスジェニック / 破傷風毒素 / Ga14-VP16 / 恐怖学習 / フリージング |
Research Abstract |
我々は、ゼブラフィッシュでは背側手綱核と腹側手綱核が、マウスの内側手綱核と外側手綱核に相当することを発見した(Amo et al., J. Neurosci. 2010)。更に我々は、ゼブラフィッシュの背側手綱核が、更に外側と内側の亜核に分かれており、外側亜核は脚間核の背側半分に、内側亜核は脚間核の腹側半分に選択的に投射すること、左側の手綱核では外側亜核が内側亜核よりも有意に大きく、右側の手綱核ではその反対であることを発見した(Aizawa et al., Current Biology, 2005 ; Devel. Ce11, 2007)。更に、背側手綱核の外側亜核が投射する背側脚間核は、脅威や性的衝動に基づく本能的行動の中枢である中心灰白質に投射し、内側亜核が投射する腹側脚間核は、セロトニン神経細胞を含み戦略的行動プログラムの成立に関わる縫線核に投射することも証明している。このような神経回路を特異的に操作するために、これまでに、背側手綱核の全体や、外側亜核だけに特異的にGa14-VP16を発現するトランスジェニック・ゼブラフィッシュを作成している。これらの系統を使って、背側手綱核や、外側亜核だけを選択的に破壊したり、神経活動を抑制できるようになった。その結果、背側手綱核の外側亜核の神経細胞で,特異的に破傷風毒素を産生し、背側脚間核への神経伝達が特異的に遮断されたトランスジェニック・セブラフィッシュでは、恐怖学習の成立後の、恐怖反応が、異常に亢進していることが明らかになった。即ち、野生型のゼブラフィッシュでは、恐怖学習の後に条件刺激を提示すると、一時的な遊泳活動の亢進が見られるだけだが、このようなトランスジェニック系統は、条件刺激と提示後、完全に行動を停止した(フリージング)。この状態は、条件刺激の提示終了後も数分間持続した。このことから我々は、背側手綱核(哺乳類の内側手綱核)の外側亜核が、恐怖反応の選択に深く関わっているのではないかと考えられるようになった。
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Research Products
(17 results)