2009 Fiscal Year Annual Research Report
中性子解析によるATP結合タンパク質の水和構造とそのダイナミクス研究
Publicly Offered Research
Project Area | Water plays a key role in ATP hydrolysis and ATP-driven functions of proteins |
Project/Area Number |
21118502
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
新村 信雄 Ibaraki University, フロンティア応用原子科学研究センター, 特任教授 (50004453)
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Keywords | ATP結合タンパク質 / 水和構造 / death-associated protein kinase / トロンビ / 中性子回折 / 結合エネルギー / 阻害定数 / 複合体 |
Research Abstract |
我々はこれまで生体高分子の中性子構造解析を行い、タンパク質やDNA分子を取り巻く水和構造を水素原子まで含め決定してきた。水分子の配向は双極子モーメントの方位を規定するので、水分子が作る双極子モーメント場を決定することが出来た。ATP結合タンパク質中でのATPのエネルギー変換の特性を水和水ネットワークのダイナミクス(構造揺らき)から理解することを目的にしている。 1.ATP結合タンパク質として、腫瘍制止の制御やアポトーシスの仲介役を行うキナーゼの-種であるヒトのdeath-associated protein kinase(DAPK)を選び、プラスミドをProf.M.Egliから頂き、それの発現を行った。その結果プラスミドの大腸菌への導入、大腸菌培養ま出来たがDAPKは得られなかった。現在、Prof.M.Egliへの問い合わせを含め、その原因を検討中である。 2.血中タンパク質フィブリノーゲンの加水分解酵素トロンビンと阻害剤ビバリルジンとの複合体の中性子解析が進行している。阻害剤との界面に2個の水分子を水素原子まで含めてその構造を同定できた。そこで、AutoDockというタンパク質-基質結合エネルギー計算プログラムを用い、2個の水分子の複合体形成への寄与を以下のように考察した。水分子が全く無い場合、それぞれ1個のみが存在した場合、および2個の水分子が存在した場合のそれぞれについて、タンパク質-基質結合エネルギーと阻害定数を求めた結果、それぞれ、(-3.37kca/mol,3.40mM),(-3.91kcal/mol,1.37mM),(-4.18kca/mol,0.86mM)(-4.73kcal/mol,0.34mM)と水分子の寄与が大変重要であることが判明した。
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Research Products
(7 results)